コンテンツベンチャーQ&A


2.コンテンツビジネスへの資金調達
Q4 コンテンツ投資市場の現状と未来は?

 我が国における音楽、映像、ゲームなどのエンタテイメント産業や出版、情報提供などのコンテンツビジネスの市場規模は12〜3兆円を超えており、今後も年3〜4%程度の成長が予測されています。未来型産業の一つとして確実な成長が見込まれる市場であり、様々な課題を的確に解決することができれば、我が国のリーディング産業となり得るビジネスと言えます。
 課題としては、(1)資金供給環境の未整備、(2)マーケティング環境の未整備、(3)権利関係の曖昧さなどが挙げられます。(2)、(3)の課題が解決され、まさにコンテンツのマルチユースが実現する一方、リスク・リターン関係を把握した適切な投資の仕組みが出来れば、将来有望な投資市場となり得るでしょう。昨今、銀行の融資姿勢が極めて保守化したことから、コンテンツ制作会社の資金調達力は相当低下しています。早急に資金供給環境を整備する必要があると考えられます。
Q5 制作資金の調達方法は?

 コンテンツ制作資金を調達するには、自己資金、金融機関からの借入の他、パブリッシャー(例えば、映像作品の場合、ビデオグラムメーカー、テレビ局等)などに資金拠出依頼をする場合などがあります。
 自己資金は別として、プロジェクト毎に貸出先や出資者を探し、ビジネススキームを構築していくことは、大変な労力と時間を要します。また、パブリッシャー等に出資を求めた場合は、結果的にコンセプトを売り渡して受託制作になるケースやその事業者の事業分野の権利を渡してしまうことが条件となる場合が多く、制作者の権利が狭められてしまうことになります。
 このような問題を解決するためには、円滑な借入や増資を促進することも必要ですが、事業提携を前提としない純投なコンテンツ投資(コンテンツ制作プロジェクトもしくは著作権への投資)を拡大することが重要であると考えられます。即ち、株式市場、間接金融以外の金融手法の多様化を進めていくことが必要です。

Q6 受託型ビジネスの問題点とは?

 ゲームや映像作品などのコンテンツ制作においては、制作者が企画立案から制作まで一貫して担当しているのにもかかわらず、資金調達ができないために受託型ビジネスに甘んじているケースが多いのが現状です。
 受託型ビジネスでは、パブリッシャーや放送局等の発注者から制作費をもらってコンテンツを制作するため、販売リスクがなく、また資金繰りも楽です。しかしながら、このような形態では、コンテンツの権利(著作権)が制作資金を出した発注者側にあるため、成功しても制作者側には受託契約額以外の収益は入りません。最近では、売上に応じてロイヤリティを受け取る契約も増加していますが、ロイヤリティは数%とごく僅かです。
 このように、受託型ビジネスでは収益が限られるので、大ヒット作品を生み出す想像力と制作能力があっても、経営の大きな飛躍には結びつきにくくなっています。
Q7 自己投資型ビジネスとは?

 コンテンツ制作会社が、自らの投資だけで企画立案、制作、販売、回収を進めていくことができれば、コンテンツの権利を十分に活用することができます。相当の資金力を有し、リスクを全て負担することができるならば、利益を最大限に確保できる可能性があると言えます。
 しかし、コンテンツ制作会社の多くは、資金力やリスク負担能力に乏しく、また、担保となるような資産も少ないことから、銀行からの借入などの資金調達力にも限界があります。まさに、この点が、新興制作会社がなかなか飛躍できない要因の一つとなっています。資金調達力を補完するような公的制度はあるものの、資金規模や審査制度の問題もあって、多くの制作会社に自己投資型のコンテンツビジネスを展開させるまでに至っていません。
 また、最近になって、様々な資金調達の仕組みが考案されていますが、汎用的な仕組みになったものが少なく、今後、さらに多くの資金調達の仕組みが現れることが望まれます。
Q8 コンテンツファンドによる資金調達とは?

 コンテンツ制作会社が資金調達を行なう仕組みの一つとして、コンテンツファンドがあります。現在、恒常的に稼動しているものとしては、「東京マルチメディアファンド」(URL http://www.jdc.jp/TMF/index2.html)があります。
 この方式は、任意組合もしくは有限責任組合の形式によって、投資家より資金を集め、コンテンツの制作プロジェクトに対し投資を行なうものです。企業そのものに投資をするのではなく、あくまでプロジェクトに対する投資であるため、制作会社としては、失敗しても投資を受けた部分についてはリスクを負うことがありません。また、コンテンツの権利は制作者に残るため、成功すれば、その収益を応分に享受することが可能です。
 このほかにも、汎用的な仕組みではありませんが、金銭信託を利用したものや投資信託を利用したものも出て来ています。各種のファンドが拡大すれば、資金供給の円滑化に資するものと考えられます。
Q9 共同投資型ビジネスとは?

 コンテンツ制作を行なう仕組みとしては、映画ビジネスなどで昔からある制作委員会(法律的には任意組合もしくは匿名組合)を設立して共同で投資を行い、権利の確保と販売、収益の分配を行う方法があります。これと同様の方法で、アニメやゲーム制作プロジェクトの現場では、制作者が中心となって任意組合や特定目的会社(SPC)を設立してプロジェクトを進めるケースが出てきています。
 しかし、制作委員会やSPCの設立・運営のためには、高度に専門的な法律、金融、権利処理などのノウハウが求められます。また、最近では海外販売も視野に入れたビジネス構築が必須要件となってきており、さらに専門的なノウハウやネットワークが必要になっています。
 このような業務を制作会社が全て行うのは難しく、専門知識をもったアレンジャーやエージェント機能をもつ企業のサービス提供が求められます。
Q10 コンテンツビジネスにおける信託とは?

 我が国にはコンテンツ(著作権)等の知的財産権を活用した資金調達の仕組みを構築するための手段として、任意組合、匿名組合、有限責任組合、資産流動化法上の特定目的会社・特定目的信託などがあります。
 しかし、これらは金融手法の多様化を促す導管的な仕組みに乏しく、使い勝手が悪い場合が多く、本来、様々な金融手法に有用と言われている信託は、信託業法第4条において受託財産の制限がなされており、著作権等の知的財産権を信託することが出来ません。
 拡大するコンテンツビジネスにとって、一般投資家を取り込むことが喫緊の課題であるとともに、投資家にとっても、投資対象の多様化の観点から、著作権等の知的財産権が投資対象となることが望まれています。著作権及びそこから生み出されるキャッシュフローを確実に管理し、資金調達の仕組みを構築できるよう、早急に信託関連法を改正すべきでしょう。
 なお、著作権は特許権等と違い発生主義であるため、その証明にも十分留意する必要がありますが、簡易に著作権の発生を明確にしようとする試み(i-right URL http://www.i-right.jp/jdc/ など)も出て来ています。


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