コンテンツベンチャーQ&A


4.権利と契約
Q15 コンテンツの著作権は誰が保有するのですか?

 コンテンツすなわち著作物の著作権は、「著作者」が保有します(17条1項)。
「著作者」とは、著作物を創作する者です(2条1項2号)。誰が「創作」をしたかにより、著作者が決定されます。具体的に表現をした人が著作者になり、単にアイデアを出しただけの人は著作者となりません。例えば、漫画雑誌の編集者は、全体の構成につきアイデアは出しても、具体的なストーリーの作成や作画を行いませんので、通常著作者となりません。
 著作物の原作品や、著作物が公衆に提供される際に、実名(つまり本名)や周知の変名(雅号、ペンネームなど)が著作者名として表示されている者は、その著作物の著作者と推定されます(14条)。例えば、漫画本に実名が著作者名として表示されている漫画家は著作者と推定されますので、これを争う人が推定を覆すため立証活動をする必要が出てきます。
 なお、法人その他使用者の発意に基づき、その法人等の業務に従事する者が、職務上作成する著作物で、その法人等が自己の著作の名義の下に公表するものの著作者は、その作成時に契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等になります(いわゆる「法人著作」。15条1項)。例えば、新聞記者の新聞記事については通常新聞社が著作者となります。
 また、著作者から譲渡や相続などにより著作権を承継した者は、当然著作権者となります。
Q16 守る著作権からビジネス化のための著作権へ変えてゆくには?

 旧来「著作権」と言えば、著作権者が自分の著作物を勝手に利用して商売をしている者に対し著作権侵害に基づき損害賠償請求などを行う、というように、著作権侵害の部分のみが強調されてきました。
 もちろん著作権侵害に対し裁判で権利行使していくことは今でも重要です。しかし、インターネットなどの様々なメディアがある現在、コンテンツ・ビジネスを行う企業にとって、自分たちが著作権を持つコンテンツを如何にビジネス的に有効活用してプロフィットをあげていくか、如何にワンソース・マルチユースによる利益の極大化を図るか、という点が重要となります。つまり、(1)有効に権利処理をしたコンテンツを、(2)ライセンス(利用許諾)などの形で如何にビジネス化していくか、という問題です。
 これを具体的な契約問題として捉えた場合、(1)は従業員や外部業者を使って制作を行う場合の契約、(2)はコンテンツのライセンスや二次利用に関する契約に関連してきます。
 コンテンツの企画・制作という初期段階から、権利処理やワンソース・マルチユースを念頭においてビジネスを進めることこそ、コンテンツ・ビジネスにおいて勝利するための鍵となるのです。

Q17 制作に関わる契約(コンテンツの権利処理)の際の留意点とは?

 コンテンツ制作の外部業者への業務委託がよく行われています。アニメやテレビ番組の制作の業務委託などがそうです。この場合、委託を行うコンテンツ製作会社は、後々ワンソース・マルチユースできるよう、実際に制作を行う外部業者との間の契約で、きっちりと権利処理をしておく必要があります。具体的には、外部業者との間の業務委託契約で、コンテンツの著作権が自らに帰属することを明確に規定しておくべきです。さもないと、外部業者に著作権が帰属しているとされ当該外部業者から訴えられたり、当該コンテンツのライセンス先からも訴えられる可能性があります。
 また、コンテンツ製作会社が自社の従業員にコンテンツを制作させる場合も、しっかりとした権利処理が必要です。先に述べた「法人著作」に該当すれば著作権は会社側に帰属しますが、従業員との間でこれに該当するか訴訟などで争いになる事例も見られます。このような争いを防ぐには、(1)会社の就業規則に、全て会社の著作物となる旨規定したうえ、(2)雇用時に各従業員から、全て会社の著作物になる旨記載した誓約書などを提出させたり、(3)重要な作品については、個別作品の制作に先立ち、当該作品が法人の著作物になる旨の確認書を締結しておいた方が安全でしょう。
Q18 流通に関わる契約(ライセンス契約)の際の留意点とは?

 コンテンツを流通させプロフィットを得るために通常行われるのが、著作権のライセンス(利用許諾)をしてその対価としてロイヤルティ(印税)を得る契約、即ち、ライセンス契約です。
 ライセンス契約で最も重要となる要素は、(1)ライセンスの範囲と、(2)ロイヤルティ額です。もちろん各ビジネススキームなどにより条件が決まるとはいえ、コンテンツ保有者にとっては、極論すれば、(1)できるだけ狭い範囲でライセンスする一方、(2)できるだけ高額のロイヤルティが得られれば、望ましいことになります。
 (1)ライセンスの範囲については、コンテンツを利用できるメディア(ビデオ、DVD、インターネットなど)、テリトリー(日本、全世界など)などをできるだけ具体的に規定することが重要です。また、特定業者のみに独占的にライセンスすることは、できれば避けたいところです。
 (2)ロイヤルティ額については、最低保証(ミニマムギャランティまたはMG)額をいくらにするか、ロイヤルティ率をどうするか、ロイヤルティ計算の基礎を総売上高(グロス)にするのか純利益(ネット・プロフィット)にするのかなどにつき、明確に規定するべきです。
 なお、コンテンツの経済的利用としては、著作権を譲渡する方法も考えられますが(著作権譲渡契約)、コンテンツ保有者としてはできるだけ避けたいところでしょう。
Q19 二次利用に関わる契約(商品化契約など)の際の留意点は?

 例えば原作漫画を実写化したりキャラクター商品として販売したりするように、元々の著作物の二次利用は、ワンソース・マルチユース時代の今、コンテンツ・ビジネスにより収益をあげるための必須条件とさえ言えます。著作権法上、元々の著作物の著作者は、翻案権(27条)などや二次的著作物の利用に関する原著作者の権利(28条)を有しますので、これらの権利に基づき二次利用者に許諾をする権限を有するわけです。
 通常、原作漫画のキャラクター商品販売の場合であれば、商品化許諾契約が締結されます。実写化であれば、ライブアクション(実写化)契約が締結されます。いずれも、先に説明したライセンス契約同様、(1)どの範囲で二次利用を許諾するか、(2)ロイヤルティの額をどうするかが重要な要素となります。
 なお、先に説明したコンテンツの権利処理の問題とも関連しますが、二次的著作物に対する原著作者の権利に関し教訓を与えたのが、漫画「キャンディ・キャンディ」に関する一連の判決です。漫画のストーリー原作者が、漫画家や商品化をした業者らに対し、二次的著作物の利用に関する原著作者の権利(28条)に基づき訴えを提起したのですが、裁判所はストーリー原作者の損害賠償請求などを認めています(例えば、最高裁平成13年10月25日判決参照)。


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