コンテンツベンチャーQ&A


5.コンテンツの市場性とマーケティング
Q20 コンテンツの制作費とメディアを通じた流通コストの関係はどのようになっているのでしょうか?

 商品としてのコンテンツの市場売上は、メディアの売上としてとらえられていますが、その内訳、メディアの流通コストと利益、コンテンツ制作のコストと利益は、どのメディアコンテンツ分野においても不透明なのが現状です。
 映画、ゲーム、音楽CD、図書・雑誌のように店頭で販売されるコンテンツでは、売上の3〜5割が小売店収入となりますが、再販制や定価制など流通保護の商慣行に問題を指摘する声もあります。
 また、これらを出版する版元となるメディア企業は、多くのコンテンツを外注により制作したり、コンテンツの権利を購入して商品化していますが、その方法やコスト・利益のシェアのあり方はまちまちです。
 さらに、地上波TVのようにスポンサー企業の広告収入によって成り立っているメディアでは、コンテンツの小売単価という考え方がありませんので、コンテンツの外注予算やコンテンツの権利購入の予算は、直接メディアの売上と連動するものではありません。
 コンテンツの制作者自身がコンテンツ制作に投資し、これを商品化して販売し利益をあげようとする場合、こうした不透明な取引によるメディアを通じた流通は、大きな障害となります。このため、今後、メディアとコンテンツの商品化・流通のプロセスの透明化、改善が求められるものと考えられます。
Q21 コンテンツ市場売上、単価、販売点数などの現状は?

 放送と通信、映画、音楽、ゲーム、図書・雑誌などは、これまでそれぞれ独立したメディアコンテンツ分野として扱われてきたため、これらを横断して市場や単価を比較したデータは少ないのが現状です。しかし、多メディアにコンテンツを流通するビジネスモデルを構築するためには不可欠なものですので、次のような表をまとめてみました。

メディアとコンテンツの市場特性と価値評価の課題
分 野 メディア市場規模・売上 コンテンツ価値の評価と課題
市場特性 売上(億円) コンテンツ対価負担 コンテンツ対価(円) コンテンツ流通の課題
放送 テレビ普及
ほぼ全世帯 4742万
ヒット視聴率 30%
NHK 6558
地上波TV-R 2兆3419
CATV、CS・BS 4146
NHKは加入者負担
地上波はスポンサー負担
CATV、CS・BSは加入者負担
NHK月額 約4,000円
地上波無料
CATV、CS・BS約 4,000円
価値指標が視聴率のみ、ビジネスモデルが不透明
PR映像
CM
展博映像、施設用映像、企業PR映像、CMなど PR映像 2413
CM 2013
スポンサー負担 CM年間 6,800本、
1本平均 1700万円
PR映像年間 6,000本
1本平均 4,000万円
制作費対スポンサー企業満足の評価システムがない
インターネット 加入者(世帯数35%) 4700万
人気HPアクセス
 100万以上/日
オンラインショッピング 3360
接続サービス 3000
通信料・サービス料
ユーザー負担
使用量毎課金 価値指標不在、
ビジネスモデルが未成熟
モバイル データ通信加入者 1500万 情報サービス (200)
パッケージ ビデオ普及率 3700万
80% 800万
ヒットタイトル 5000万
PC普及
(企業・家庭)
ビデオ 1528
DVD 1047
PCソフト 863
1本ごと購入者負担 1本ごと定価制
(再販制とレンタル)
再販制による定価づけ、レンタルとの混在が問題、今後ネットワーク流通が主流に
ゲーム ゲーム機普及
(PS1・2、N64) 2763万
ヒットソフト 100万
ソフト売上 4300
アーケード売上 6195
1本ごと購入者負担 1本ごと定価制
2,000〜4,000円
(レンタル・中古制限)
音楽 ほぼ全世帯 4742万
ヒットシングル 200万
ソフト売上 5398
カラオケ売上 1兆113
(うちカラオケボックス 5657)
1本ごと購入者負担 ほぼどのシングル、アルバムも同一定価、シングル700円、アルバム2,800円 どのソフトも概ね同一料金、再販制による定価づけ、レンタルとの混在が問題、今後ネットワーク流通が主流に
映画 スクリーン数 2524
年間動員 1臆3539
ヒット映画 1200万
興行収入 1709
(うち邦画 543)
入場料制で鑑賞者の負担 ほぼどの映画も同一料金約1,300円 どの映画も概ね同一料金が問題、映画館での入場者数のカウントが不正確
図書・雑誌 少年サンデー 158万
ヒット出版 200万
雑誌売上 1兆4260
(うち広告 4369)
図書売上 9076
1部ごと購入者負担、
広告はスポンサー負担
1部ごと定価制
(再販制)
再販制による定価づけが問題
新聞 トップシェア 1000万 全売上 2兆4688
(うち広告 8448)
宅配月決め契約ユーザー負担、
広告はスポンサー負担
1部100円、月決め契約約4,500円 ネット上の新聞との役割分担が問題
合計 11兆9660 (1999年推計)

他の産業分野との比較
●日本の農林水産業生産額約10兆円(就業人口321万人)、食品産業全体約100兆円
●日本の建設・土木業売上額約75兆円(GDPの15%)、将来30兆円(GDPの6%)に
 これによると、国内で最も多くの人に到達するマスコンテンツでは1000万人程度、特定のクラスやファンをターゲットとするコンテンツでは最大100〜200万人程度、一般的に選択して利用されるコンテンツでは10万〜数十万人程度を市場としていると考えられます。



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