『ブロードバンド時代のビジネスモデル創作には何が必要か?』
 

2003年3月 セミナー(パネルディスカッション)実施報告

新しい収益構造を求め、活発に意見交換。


 2003年3月17〜18日に機械産業記念館「TEPIA」で行われた「DIGITAL CONTENT JAPAN 2003」の一環において、17日、コンテンツ分野のベンチャー企業経営者に向けたセミナーを開催。今後のデジタルコンテンツを巡る流通構造や、そのなかでどのようなマーケティング戦略が有効なのかが話し合われました。

■既存のメディアとは異なるビジネスモデルを
 まず4名のパネラーの方々(株式会社エイガアル:伊藤淳子氏、株式会社デジタルガレージ:齋藤茂樹氏、株式会社ベネッセコーポレーション:重松郁也氏、株式会社平野デザイン設計:平野哲行氏)がご自身の活動に則して問題を提起。そのなかから、モデレータをお願いした慶應義塾大学ビジネススクール:國領二郎教授がテーマを絞り込み、パネラー間の活発な意見交換を促しました。

 「出版に比べてデジタルメディアはメディアとして成熟していない。作家やプロデューサーが収益を得る仕組みが確立されていない」。伊藤氏のこうした指摘に対し、齋藤氏は「既存のビジネスモデルを、そのまま新しいビジネスに移行させるのは難しい」と述べ、従来のメディアに活動基盤を持たない、新しいクリエイターによるデジタルメディアの発展に期待しました。

 また平野氏は、「単にある作家を売り込むのではなく、より大きなプロジェクトをまず立ち上げて、そのなかに作家を巻き込む形をとれば収益が得られる」とプロジェクト・プロデューシングの重要性を強調しました。


■カスタマを集める、コンテンツを揃える
 齋藤氏はブロードバンドのサプライチェーンを、(1)コンテンツ、(2)コンテンツアグリゲーション(コンテンツの集合体)、(3)ネットワーク、(4)デバイス(PCや携帯電話など)、(5)カスタマアグリゲーションの5つに分け、そのどこで利益を上げるのかを意識しなければならないと述べました。そのうえで「まず前提となるのはカスタマアグリゲーションをどこが持っているかであり、誰がコンテンツをアグリゲートできるかはその次」と優先順位をつけました。

 進研ゼミの会員数が約350万人におよぶなど、強力なカスタマアグリゲーションを抱えるベネッセコーポレーションの重松氏は、「顧客情報をデータベースに蓄積することよりも、必要なときにお客さまの意思を引き出せるような関係性(場)を築くことのほうが大切」とブロードバンドの活用法に言及。さらに「カスタマアグリゲーション側とコンテンツアグリゲーション側の間のコミュニケーションが十分とはいえない」と課題を挙げました。

 これを受けて平野氏は、ご自身が顧問を務めるサッカー協会を例に、「社会的に何がコンテンツに要求されているか。そこをプロデューシングできれば確実に利益になるだろう」と展望を述べ、カスタマアグリゲーションとコンテンツアグリゲーションを結びつける視点の有効性を示唆しました。

この事業は競輪の補助金を受けて開催いたしました。

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