ユビキタス社会とコンテンツビジネスの接点をめぐり、活発に議論。

 11月5日〜6日の2日間、東京国際フォーラムにて開催された東京コンテンツマーケット2003[秋]。その一環として実施された“コンテンツベンチャープラザセミナー2003[秋]”では、ユビキタス環境下での最新ビジネス動向、また新たなビジネスモデルにおける資金調達の考え方など、コンテンツ産業をめぐる課題が多岐にわたって話し合われました。

2003年11月5日(水)【パネルディスカッション】

ユビキタス社会に流通するコンテンツとは?

 当日はコンテンツビジネスの先駆者として知られるパネラー5氏(株式会社ナムコ:清野一道氏/株式会社電脳商会:西澤利治氏/株式会社インデックス:渡辺和俊氏/株式会社東芝:土井美和子氏/ソニー株式会社:花谷慎二氏)それぞれのプレゼンテーションに引き続き、為ヶ谷秀一氏(女子美術大学教授)コーディネートによるパネルディスカッションが実施されました。
 コンテンツ流通の新たなキーワードとして取りざたされる『ユビキタス』。果たしてそれは、今後のビジネス展開に何をもたらすのでしょうか。為ヶ谷氏のこうした問いかけに対し、清野氏は「世界が標準化すればするほど、時代のベクトルは個別化を指向する」と指摘。これを受け渡辺氏は「パーソナルキャスティングは、たしかに時代のひとつの流れ。今後は発信したい人のためのプラットフォームをいかに用意すると同時に、才能ある人材をいかにピックアップできるかがポイント」と語りました。
 ユビキタス環境それ自体は「脚光を浴びることのなかった人たちにとって、チャンネルを増やすよい機会(土井氏)」との見解が概ね総意を得る一方で、西澤氏からは「ユビキタス環境下のビジネスは、コンソーシアム的なアライアンスの上にはじめて成立するもの。その意味ではプロダクションビジネスというより、むしろサービス業的な視点が必要では」との見解が示されました。
 また、「お金がどのように流れるかを考えれば、高齢化社会に向けたコンテンツはひとつの鍵になる(花谷氏)」といった意見や、「ユビキタスはいわば社会現象のひとつ。機器のスペックやインフラが進化すれば、おのずとコンテンツはユビキタス化していく(西澤氏)」といった考えも示されるなど、議論は、コンテンツビジネスとユビキタス社会の接点を探るかたちで多方面に展開。ユビキタス環境をめぐる解釈の幅広さと、今後への期待感が改めてうかがわれたディスカッションでした。


2003年11月6日(木)【講演会】

コンテンツビジネスの活性化

 
■講演(1)
『コンテンツ資金調達のポイント』
 日本のコンテンツビジネスが潜在的な国際競争力を有しているという前提のもと、土井宏文氏(株式会社ジャパン・デジタル・コンテンツ代表取締役社長)は「投資に対するリスクとリターンの設定ができれば、他の業種同様、最適な金融手法を見出せるはず」と語り、投資家がポートフォリオを描くことのできる仕組みの重要性を訴えました。
 また土井氏は、コンテンツビジネスにおけるリスク対策として、匿名組合型ファンドにより資金を分散的に吸収する特定目的会社「SPC(スペシャル・パーパス・カンパニー)」について言及。制作会社とプロジェクトの間に独立体としてのSPCを介在させることで、制作会社をコーポレイトリスクから切り離す仕組みについて説明しました。
 コンテンツビジネスにおける資金調達は今後さまざまな可能性と課題を有していますが、最後の締めくくりとして土井氏は、「資金調達とはあくまでもビジネス構造が先にあって、その後についてくる話」であるとし、制作・販売・金融が一体となったビジネスモデルの構築こそが、資金調達の最大のポイントだと強調しました。
■講演(2)
『韓国の文化コンテンツ投資の現状と展望』
(創業投資組合の投資傾向及び政府政策を中心に)
 韓国ではここ数年来、映画・ゲーム・音楽市場を中心としたコンテンツ産業が飛躍的な成長を遂げています。ハンソル創業投資株式会社次長の金鎭衡(キム・ジンヒョン)氏による講演では、世界的視野から見た韓国文化産業の現状と展望が示されました。
 97年以降の韓国映画産業の急成長について金氏は、投資会社によるインフラ整備事業を挙げ、「急激に広まったシネマコンプレックスの存在は、多数の観客動員を生み出した大きな要因」であると指摘。その一例として、4〜5年の間に国内に1,000館の映画館をつくった投資会社「CJエンターテインメント」の存在を挙げました。同時に金氏は韓国映画産業の構造についても触れ、コンテンツはむろん資金流通における配給会社の重要性について強調しました。
 また、97〜98年を境に数十倍もの成長率を見せたゲーム市場については、「急成長の鍵は、やはり充実したインフラによるもの。超高速インターネット網やモバイル網を軸に、オンラインゲームやPCバン(いわゆるインターネットカフェ)の躍進がある」と説明。今後はゲーム制作会社が配給会社化するなど、コンテンツ流通のスピード化がさらに進むだろうと展望しました。
 金氏は、「ITインフラの拡大そのものが、国民の文化に対する要求を高めていることは事実」と述べる一方で、現在頭打ちとなりつつある韓国コンテンツ産業の内需についても言及。「韓国コンテンツ産業の投資は非常に短期間で成果をあげてきたが、裏を返せばそれは、産業そのもののスパンも短いというリスクを抱えている。今後は、いかに安定したかたちでの収益構造を見込んでいくかが課題」と述べ、日本や中国、アメリカなどの海外市場と手を組みつつ、市場拡大を目指したいとの抱負を明らかにしました。

(本内容は、DCAJニュース11,12月号にも掲載されます)

この事業は、競輪の補助金を受けて開催いたしました。

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