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韓国における3D(立体)コンテンツに関する動向調査

 
 

■調査期間

平成17年11月30日(水)から平成17年12月3日(土)まで

■調査場所

韓国 ソウル及びその近郊

■調査メンバー

金  相賢 早稲田大学大学院 国際情報通信研究科 河合研究室

   

土屋 光久 (財)デジタルコンテンツ協会 事業開発本部

(他、「3Dコンテンツに関する調査研究委員会」から委員4名が自主参加)


3D、立体視映像に関するの海外の動向はここ最近大きな動きがあり、とりわけ韓国における技術革新が一つの注目点に挙げられている。そこで、3D・立体映像技術、コンピュータグラフィクス技術に関し、ここ最近の技術開発動向が把握できる韓国の大学、研究機関を訪問し、3Dに関する最新動向調査を行なった。

 
   
 

1.イファ女子大学 / CG/VR研究センター


1999年8月、視覚的・認知的要素を反映したコンピュータグラフィクス、バーチャルリアリティの戦略技術開発と立体映像に関する研究のために設立された。同研究センターにおいては、Barco社の立体投影装置を使った研究、4面CAVEによるPCベース制御(韓国初)映像研究、等のデモを披露、3D表現に関する研究の応用分野としては医療分野が顕著であるとの報告があった。会見したKim Myoung-Hee教授は研究センター内にて博士・修士の学生を指導するかたわら、韓国CG/VRセンターのDirectorとMedical Image Visual Computing Labの責任者を兼任で活躍している。同教授は立体映像に関する韓国学会を代表する有識者のひとりである。

 
   
 

2.クァンウン大学 / 次世代3Dディスプレー研究センター


2003年8月、クアンウン大学の一部に次世代3D立体映像ディスプレイに関する研究開発のために設立された。韓国内の他の6大学から参加する12名の教授、89名の修士/博士研究員で構成される研究組織である。3Dに関する専門研究分野の産・学・研の連携が売り物ので、それなりの成果、装置のデモが見学できる。研究分野は、3D光学素子から大型/小型3Dプロジェクション、立体カメラ、裸眼式立体映像(投射)装置、等と多彩、中でも裸眼視で物体を大きく浮遊して投影せせる立体表現装置は目を引いた。立体映像とは呼ぶかどうかは議論の分かれるところではあるが、日本でもこれほどの飛び出し映像(50インチディスプレーから1.5m程度)は無いと同行したメンバーからの声も聞かれた。商品デモ等への応用が期待できるとの事である。

 
   
 

3.韓国電子通信研究院(ETRI)


韓国のデジョン(大田)市に位置するETRIは、科学技術部傘下の研究機関として情報・通信・電子分野の新しい知識と技術を創造、開発、普及せしめるために専門人材を養成し、経済・社会の発展に寄与することを目標とする研究機関である。「u-IT Korea」のスローガンのもと、素子開発から次世代PC、ネットワーク、mobile通信、ホームネットワーク、ロボット、マン・マシンインターフェイス、デジタルコンテンツ自体、そして立体映像に関する研究と情報・通信・電子の各分野を幅広く手がける。その中の研究組織の一つに「デジタルコンテンツ研究ラボ」があり、次世代(インターネット)ゲームに関する研究と3D/VR全般技術に関する研究を行なっている。


目を引いた「3D」に関する研究として、半球面スクリーンに計16台のプロジェクタから投影画像を映し出すVR立体空間装置があり、立体映像表現として目新しいものではないが、「3D研究をしている」と誇示するには最適のデモであった。その他、3D研究とは関係しないが、筋肉センサーによるPC制御、インターネット上のデジタル映像不法コピー追跡システム、等のデモを見学した。

 
   

4.韓国科学技術研究院(KIST)


創設は古く、1966年に韓国初の国策総合研究院として設立、その後何回かの組織統合、分離を経て現在に至る。韓国の科学技術を導く創造的源泉技術を研究・開発することが期待されている。KISTの中でシステム研究部(5つの研究組織の一つ)の中にある映像メディア研究センターを訪問し、主にVR技術、立体映像空間に」おける実感型遠隔操縦装置、等の研究分野の成果に関し説明を受けた。3D研究に関しては、CGによって作りだされた古代都市の立体空間を遠隔操作することにより移動可能とする実体験型劇場、3面CAVEによる立体投影装置における映像の遠隔操作装置、等が主な研究課題であった。

 
   
 

5.所感


韓国における3D(立体)映像に関する研究体制/レベル全般として言えることは、間違えなく横の連携が良く、この分野に対する国家または政府筋の支援(例えば3Dディスプレーセンターには過去8年間で約6億4千万円の研究費支援)があり、それだけに期待感も高そうに感じる。また、韓国内にとらわれず、広く海外、特に日本の研究者との連携を図ろうという意欲が強く感じられる。このことは韓国の研究レベルにおいて日本に学習する面が大きいことを意味するのかも知れない。


一方3Dの分野への産業界からのアプローチという観点で、サムスン電子のような大企業ではなく、ベンチャー企業の活躍が顕著と聞く。今回調査はそのベンチャー企業訪問に至らなかったため実態はつかめていないが、ETRI、KIST訪問時に一般的ベンチャーを起業する気運とその実績を聞いてみた。それによれば、特に最近、激減したとのことで、理由は最近の景気動向から3Dに限らず、ベンチャーに対する政府支援が低迷していることを挙げていた。ベンチャーが元気でないと、「3D」の世界においても今ひとつ活況を呈する状況にはならないと危惧する向きもないわけではない。


しかしながら、先述の通り、3D・立体映像の研究に関し、日韓の協力を求める声は強く、今後に向けた更なる協力関係の構築が望まれる。同時に、今後も韓国における3Dコンテンツの開発・利活用に関し、範囲を拡げた継続調査が必要となろう。

 
 

以上

 

この事業は、競輪の補助金を受けて実施したものです。
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