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DCAJ news No,124
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次世代コンテンツに向けた研究開発動向調査:2/18〜2/26/2006「北米発:次世代コンテンツを支える研究開発動向」デジタルCG技術で最先端を走るアメリカ、カナダの映像制作現場は、ゲーム業界で進むHi-end映像追求とそれにともなう開発効率化という課題に対して、どのように取り組んでいるのだろうか。北米地域で進む次世代コンテンツ開発に向けた研究開発動向をレポートする。
北米における次世代コンテンツに向けた研究開発動向調査

国内ゲーム業界の次世代コンテンツの創生に関する技術課題調査の結果、ハードの進化をいかしたHi-end映像追求には、物理エンジンなどミドルウェアの拡充と、ボリューム増大する素材映像のアセット管理を踏まえた開発効率化が必須という大勢であった。


一方、デジタルCG技術で今や世界の最先端を走る北米においては、果たしていかなる状況でこのテーマを考えているか。2月18日から26日にかけて、アメリカ、カナダのCG制作現場、汎用CGソフトメーカー、物理エンジンメーカー、産学連携パートナーとしての大学の動向を調査したので、概要を報告する。


今回の訪問団は、次世代基盤技術調査委員会から(株)ナムコ馬場哲司委員、(株)イメージスタジオ109松野美茂特別委員及び事務局廣田新の3名。


(1)LA CGミーティング
ミーティング(1)に参加された左から鈴木、有馬、渡辺、久保田、武広、三好の各氏
ミーティング(1)に参加された左から鈴木、有馬、渡辺、久保田、武広、三好の各氏

LA地区のハリウッド系CGスタジオ11社に勤務する在米邦人CG関係者32名よりコーディネーター含め9社16名の参加を得て、2日間で4回延べ約13時間に亘ってのミーティングを実施した。


大手スタジオは映像の高精細化に対し、高速処理のためのパイプライン構築が進み、大量の映像素材のV/L管理などアセット管理、工程管理、個人クリエイター管理、予算管理など制作管理システム化も進められている。


R&H, DreamWorks両社は汎用CGソフトの莫大なレンタル費用を嫌い、ソフトは自社開発方針。特にR&Hはパイプライン構築が進んでいるとの話。DWでは物理シミュレーションが盛んでソフトの数も多く既に実運用レベルにあり味付けの段階とのこと。


とはいえ、様々なシミュレーションとそのレンダリング結果を見るにはまだ処理時間が掛かり、シミュレーションを組み込んだ方式でのシミュレーションベースト・リアルタイムレンダリングシステムが、創造性及びコストの面でも将来の大きな夢であるとの話。


その他月例のLA-Siggraph、,州政府主催の社会人向けCommunity CollegeのCGコース、UCLA夜間CGコースでの現役CGプロダクションエンジニアによる指導、アニメーションギルドの存在など産業基盤と捉えたとき米国の底辺はさすがに広い。


(2)AVID Technology社 SoftImage本社訪問(汎用CGソフトSoftImage|XSI)
説明に先立ちSOFTIMAGE社内の見学を先導していただいたMr. Erik Gouletと彼のRoom
説明に先立ちSOFTIMAGE社内の見学を先導していただいたMr. Erik Gouletと彼のRoom

シニア開発マネージャーより、3月リリースバージョンのキーテーマはキャラクター創造、アセット管理、パイプライン、フェイシャルアニメーションと説明を受けるが、市場はMayaとの2大ソフトへの収斂を公言し、確かに他の重点ポイントを聞いても開発のベクトルはLAで聞いた話しにマッチする。


次世代ゲーム機に向けて、マルチコア、マルチスレッダー技術への追随を表明。標準基盤を構築してコストダウンを狙い、ストーリー、キャラクターへイモーションを入れていきたいとの考えは日本のゲーム業界向きとも聞こえた。


次世代フィルムに向けてはリアリズムを追求し、キャラクター創造:パフォーマンス=80%:20%の時間分配の現状を、アーティストに直感的に作業させる環境を志向して20%:80%の実現を図っていく。実際に2005年Siggraph発表のFace Robotは、自動モデリングと自然なフェイシャルアニメーションを実現している(デモ映像を鑑賞)。


SoftImageは1986年設立で、技術者(R&D)とアーティスト(CG制作経験保有者)を現場でミックスする文化があるのが強みとの説明であった。


(3)Autodesk社 Alias本社訪問(汎用CGソフトMaya)
トロント市内ダウンタウンに在するAlias社
トロント市内ダウンタウンに在するAlias社

昨年12月Discreet (汎用CGソフト3dsMax)の親会社Autodesk社がAliasを買収。3dsMax部隊がモントリオールよりトロントに出張し、トロント集結の可能性を感じたが、当面、2本立てで進める方針と聞く。Maya関係者は合併意識であり、大手IT企業の下で統合化ソフトを狙っていき、SoftImageに対抗すべく競争力向上にこれまでより専念できると考えているとのこと。


映像空間でのスーパーリアルワールドの実現については、総てにわたって描写の迫真性が増していくが、技術的な負荷はこれまでより少なく、より多くのシミュレーションを試行し、サンプリングベースの方法によって、容易にリアルワールドが実現できるようになるだろうとのこと。


次世代コンテンツへのキーテクノロジーは、上記のシミュレーションの容易化、アセット管理と素材の再利用環境の構築、ストーリーボード・イベント計画・ゲームのモキャップのプレビジュアライゼーション、コンピュータビジョン(映像処理)合成、2D/3D合成などとのこと。


(4)HAVOK社米国本社訪問(物理エンジンソフトメーカー)

ダブリン発祥のベンチャー。ゲームソフトメーカー向けに物理シミュレーションソフトを提供。ゲーム映像では多い衝突問題のデモ映像を見学。衝突後の物体(キャラクター)の連続的な力学的挙動が自然となるようなシミュレーションに特徴がある。マルチコア、マルチスレッダーという次世代ゲームハード技術を取り込むと表明。4月日本支社設立し、今後実写VFX、3DCGアニメ映像へも力を入れていくと表明。


(5)University of Waterloo
Computer Graphics Lavoratoryの見学を先導していただいたAssociate Professor McCool
Computer Graphics Lavoratoryの見学を先導していただいたAssociate Professor McCool

カナダ オンタリオ州立、地元の産業界からのニーズで設立された5年制のユニークな大学。4ヶ月ターンで、学習と企業インターンシップを交互にくり返し、卒業までに2年間の企業インターンシップを経験する。登録企業数は全世界で3,500社。この仕組みはCO-OPと称し、専門の斡旋センターを構える。


数学学部はロシアと共に学部としては世界に2つ。数学学部から派生したコンピュータサイエンス学部はSoftImage, Discreet, Alias, Kaydara, SideEffectといったカナダ東部のCGソフトウェアメーカーに人材を供給するだけではなく、ビルゲイツがカナダで唯一リクルートに訪れる大学としても有名。産学インターンシップの理想的仕組みと感じた。


(6)Sheridan College
School of Animation, Arts and Design デジタル作画スタジオ
School of Animation, Arts and Design デジタル作画スタジオ

ハリウッドを始め映像産業国家カナダのプロダクションに人材を供給する大学として著名。産学連携は付属の研究所を中心に委託研究を受けている。折からコンピュータサイエンス部門ではゲームソフトの委託研究開発を行っていた。デジタルアニメーションの映画制作コースを備えている一方、コンピュータサイエンスの希望者が減少傾向で、ゲーム学科を立上げ準備中とのこと。


結論として日本のゲーム業界の技術課題は、そのまま北米の映像業界全体の課題であった。Hi-end映像追求に向けた物理エンジンは一歩先行した状態であり、アセット管理、制作管理システムニーズ、効率化志向、ソフト的アプローチがメインと思われるパイプライン構築は、レンダリングを中心に制作全体の工程を管理し、システム化を推進することによるトータルスループットの向上狙いである。その動向が、ハリウッドスタジオで一般化し先行している状況は、日本のゲーム業界以上に進化した過程で次世代を考えていると結論できる。


(企画調査部 廣田 新)


この事業は、競輪の補助金を受けて実施したものです。
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