わが国は現在、コンテンツの国内外に向けた流通拡大を目標に掲げ、官民をあげた取組みを立案実行中であるが、その前提として、コンテンツを流通させようとする国や地域に対する汎用的な市場に関する情報、作品適合性に関する情報、ビジネス円滑化に資する情報を獲得しておく必要がある。
汎用的な市場情報とは、コンテンツを流通に供する国や地域の人口、経済状況、諸物価、技術環境等であり、これにより、流通手段(テレビ、劇場、モバイル、ブロードバンドネットワーク、パッケージ、あるいはそれらの組合せ等)やコンテンツの価格付けといったビジネスモデルを決定することができる。作品適合性情報とは、宗教上の表現制約や政府による表現規制、表現に対する自主規制(レイティング等)、また、逆に好まれる言語表現や映像表現などであり、これにより製作される作品の表現内容そのものが決まってくる。ビジネス円滑化情報とは、著作権制度や商慣習、保護の実態、契約上の留意点、法的トラブルの解決手段などであり、これによりビジネスの安全性を確保することができる。
これら三つの調査事項はいずれ劣らず重要であるが、本調査研究はその目的上、わが国コンテンツの国内外に向けた流通拡大のために必須のビジネス基盤である著作権制度に焦点を当てることとし、日本、米国、ドイツ、フランス、中国の計五カ国の著作権制度に関する調査研究を実施した。
こうした技術と法のアンバランスに起因する問題の一つとして、いわゆる著作権の間接侵害責任(物理的な意味における行為を直接行った者以外の関与者の責任)の問題があり、具体的に、ピア・ツー・ピア( P2P)によるファイル共有サービスや、テレビ放送番組の再送信サービスをめぐる訴訟として顕在化した。P2Pでは、著作権者がサービス提供会社を相手取る裁判を起こし、サービス提供会社の法的責任を認める判決が、また、ストレージ技術、符号化・復号化技術、ネットワーク技術の発展を前提としたテレビ放送番組の再送信サービスでも、サービス提供者が訴えられ、その法的責任を認める判決が出された。
本調査研究は、デジタル・ネットワーク時代における安心・安全な情報サービスのあり方を考える上で必須の事項として、これらの判例を精読し、その内容につき議論を行った。
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