|
PRODUCTION I.G., LLC(=以下、I.G.と省略)はロサンゼルスに1997年に開設し、現在は寺島氏、鹿沼氏、風早氏の3名が常勤している。
日米合作として話題を集めた『IGPX*』は、米国の大手ケーブルテレビCartoon Network(=以下、Cartoonと省略)との共同製作である(実際は、バンダイビジュアル、バンダイエンタテインメントの4社による日本の製作委員会方式の共同製作)。米国で最も市場価値の高い男児市場をターゲットとしており、I.G.は企画から関わっている。キャラクターデザイン等、日本のアニメのテイストを打ち出しているのが特長的であり、企画の段階から日米で共同製作を行っているアニメとしては、『IGPX』は初めてとのことである。
脚本制作は日米共同となるが、音声は米国、映像制作は日本で行っている。共同製作において、コミュニケーションギャップ、文化、制作工程の相違等があり、当初は多くの戸惑いがあったという。日本のテレビシリーズは短期間で制作が常である。例えば、絵コンテに関して、日本は2, 3日で決断するが、米国(Cartoon)の場合は回答を得るのにおおよそ一週間を要した時があった。また、脚本においても、当初はクリエイティブコントロールに苦労したという。日本のアニメは微妙な“間”を多用するが、米国は主としてアクションシーンを見たがる傾向があり、会話のシーンが多いと必要に応じて変更する場合がある。文化の相違(表現規制)の側面として、冗談のニュアンスを変化させたり、当然のことながら、血やお酒を飲むシーンなどはカットせざるを得ないという。しかしながら、Cartoonのプロデューサーは日本のアニメに興味があり、特にI.G.の思想や作品に対する理解が深いことが幸いであるとのことである。
International Operations Managerの寺島氏によると、米国テレビアニメ市場の最近の傾向として全般的にアニメ番組が多過ぎるため、ライセンスが不景気であり、結果としてリクープができない状況にあるという。一方で、スタートからコピーライトコントロールを目指し、放送局と共同製作を行う事例が序々に増えている。従って、1.リサーチに基づき、視聴率が取れたり、DVDや関連商品が売れるものを制作 2.共同製作の二極化の傾向があるという。米国のテレビアニメのメインターゲットである男児がアニメを余り見なくなり、ゲーム市場にシフトしている影響を受けているといわれている(米国の女児は10歳〜12歳になると、テレビアニメを殆ど見なくなるのが一般的傾向である)。
I.G.は、「クリエーターが創りたいものを創らせる」環境を作ろうとする石川社長の考えがあり、『IGPX』や『キル・ビル』のように米国の下請けからいち早く脱却するとともに、ハイクオリティなアニメを制作することで知られている。I.G.のこれまでの蓄積に基づく定評、『IGPX』の好例等により、現在、新たな共同製作の開発が進行中であるという。詳細は、ヒアリング調査を行った段階では公にできないとのことだったが、次なるプロジェクトはどのようなサプライズがあるか、その公表が期待される。
*『IGPX』(http://www.igpx.jp/)
未来のモータースポーツを舞台にしたアクションアニメ番組。米国のCartoon Networkでの放映のみならず、日本でもテレビ朝日系列で放映されている
|