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DCAJ news No.127
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最先端のグラフィック技術が集結SIGGRAPH 2006 レポート:最先端CGとインタラクティブテクノロジーに関する世界最大の学会<SIGGRAPH>が、2006年7月30日から8月3日まで米国東海岸のボストン・コンベンション&エクジビションセンターで開催された。
◆基調講演
会場:ボストン・コンベンション&エクジビションセンター

7月31日の基調講演はディズニー・イマジニアリングの副社長・筆頭デザイナーのジョー・ローディー氏が行なった。
ローディー氏は、本年6月にディズニー・ワールドに新設された「エベレスト探検」("Expedition Everest")という乗り物アトラクションの作成に際し、はるばるヒマラヤ地方に出向き、新アトラクションの物語となる「雪男」の伝承についての調査を行なった例をひいて、小説でも、ハリウッドのヒット映画でも、一番大事なのは、しっかりとした物語であり、そのためには、テーマの選定、人を惹きつける筋運び、それと、真実らしさの追求が重要な3つのポイントであると述べた。


◆五十嵐健男氏ら受賞

基調講演に先立ち、米国マサチューセッツ州ビンガム・ヤング大学のトマス・W・シーダーバーグ氏、東京大学の五十嵐健男助教授(優秀新人研究者賞)、ヒューレット・パッカードのジョン・M・フジイ氏の3氏が表彰され、それぞれスピーチを行なった。


◆技術論文募集結果

本年の論文審査委員長であるエール大学のジュリー・ドーシー氏にインタビューした。
過去最多の50カ国から、総数で474件の応募があり、そのうち、86論文を採択した。中でもマイクロソフト 、MERL(三菱電機米国研究所)、コロンビア大学、プリンストン大学、スタンフォード大学、ワシントン大学などからは優れた論文が多かった。
画像処理、切り抜き処理、画像編集、キャプチャ、合成、人間の筋肉の動き・水の動きなど自然物理現象に関する物理シミュレーション、形状モデリングなどが主なテーマである。
採択論文の第一執筆者の所属をみると、マイクロソフト(8)、コロンビア大学(7)、ワシントン大学(6)、プリンストン大学(4)、スタンフォード大学(4)、MIT(4)、カリフォルニア大学(4)という順番になっている。
アジアからの論文で目立つ分野は、インタラクティブとイメージング、エディティングである。採択論文数が最も多かったのは、マイクロソフト・リサーチの北京の研究所で、他に、アジアで注目される企業、研究所は、インタラクティブと3Dスケッチの研究に優れている東京大学の五十嵐研究室、また、空や空気(アトモスフィア)の自然現象のシミュレーションに優れている西田研究室であり、上海大学など中国各地の大学もマイクロソフト・リサーチと共同研究を行っており、香港の大学の論文とともに良いものがあった。
日本からは今年は1件も論文採択がなかったが、たまたま採択されなかっただけで、質の高い研究は行われていると思う。トヨタのアピアレンス・モデルなど産業界に優秀な研究が見受けられる。
アジアの研究者には、もっとたくさんの論文を出してほしい。言葉の問題はインターナショナル・センターの添削サービスを利用し、多くの論文を提出してほしい。


◆アニメーション募集結果

コンピューター・アニメーションフェスティバル(=アニメーション、ゲーム、VFXなどのコンペティション)の審査委員長テテレス・マッソン氏にインタビューした。
40カ国から800作品の応募があり、うち、97作品が入選し、エレクトロニック・シアター(37)とアニメーション・シアター(60)で上映された。97作品の内訳は、アニメーション51;科学作品5;アート10;TV放送用16;ゲーム3;VFX12。学生の入賞作品は38。
今年の特徴は、ひとつの作品中に2Dと3Dが入り混じったものが多かったこと、TV広告などの商業コンテンツが多かったことなどである。TV広告などでよい作品を見つけると、企業にコンタクトし、作品を応募するように勧めたので、プロの作品が多くなり、全体的に作品の質が上がったと思う。入選作品数は多くなっているが、短編のTV広告を多く採択したためで、合計上映時間は5時間であり、平年と同じレベル。
アジアからの応募作品数は少ないが、日本の他、韓国、台湾、フィリピン、シンガポールなどからの応募があり、北米やヨーロッパの作品とは一味違い、それぞれに特色があった。VFXやTV放送用のコンテンツや広告等の商業作品は少なく、ストーリーのある短編アニメーションとストーリーのないグラフィックを見せるものが多かった。アジアから作品はアイデアの面ではヨーロッパの作品と似ており、北米の作品とは異なっている。アジアからの応募数は増えてきており、質も上がってきていると思う。特に日本の映画やアニメーションなど商業プロダクションから応募が増え、クオリティが上がったと思う。
名前は思い出せないが、台湾の学校、日本のポリゴンピクチュアズ、日系だが米国で起業したスプライトなどがアジアの中では優秀な学校、プロダクションだと思う。今年、エレクトロニック・シアターに入賞した日本のデジタル・メディア・ラボの「Monster Farm 5 Circus Caravan」はゲーム用のアニメーションであるが非常に映画的で、2Dと3Dが融合した美しい映像になっている。
今年の全体の特長としては、2Dアニメーションが多くなっていることも挙げられる。これは事務局が働きかけた結果である。フランスのENSADの作品「The Building」、米国の南カルフォルニア大学の学生の作品「Doll Face」も個人的に好きな作品である。
アジアへのアドバイスとしては、とにかく、より多く応募してほしい、ということである。北米やヨーロッパに比べて、理由は不明だが、応募数が少ない。見た人を"Wow!"と言わせる何かを持った作品を数多く提出してほしい。


地域別の比較 北米 欧州 アジア 豪州 南米
応募作品数 (計800作品) 53% 23% 21% 3% 1%
入賞作品数 (計97作品) 47% 39% 9% 4% 1%

◇エレクトロニック・シアター上映作品(37作品)

最優秀作品: 「One Rat Short」Alex Weil (Charlex, Inc.) 米国
(People's Choice Award同時受賞)
審査員賞: 「458nm」Jan Bitzer, IIija Brunck, Tom Weber,
(FilmakademieBaden-Wuttemberg) ドイツ
アジアから1作品のみ(日本): 「Monster Farm 5 Circus Caravan」デジタル・メディア・ラボ

◇アニメーション・シアター上映作品(60作品)
*日本からの入賞作品4本

「Final Fantasy VII Advent Children」スクウェア・エニックス
「Musashino Plateau」名古屋市立大学、吉田学園
「Oh Hisse」山川晃
「Scope」矢吹誠(タングラム)

◆一般機器展示

一般機器展示には、昨年より約10社少ない230社が参加。


◇高速グラフィックスボード

・DMP社(日本:2002年法政大学教授池戸恒雄研究室から創業)が「PICA」(組込みシステム向けの次世代3D/2DグラフィックスIPコア)を展示。.搭載モジュール、バーテックスプロセッサ数、レンダリングパイプライン数、およびメモリ構成(外部/内部)のカスタマイズが可能。

◇モーションキャプチャー

・MOVA:「Contour」(マーカー不要のフェイスモーションキャプチャー)

◇ディスプレイ

・BrightSide:37型HDRI対応LCDディスプレイ
・MERL: DiamondTouch」(マルチユーザー向けテーブル型ディスプレイ)
・EON Reality:「EON Touchlight」(手の動作でインタラクティブ操作が可能なディスプレイシステム=Microsoft Researchの開発技術をライセンス)

◇CGソフトウェア

「Autodesk vs. Avid」
Maya, 3dsMAXはAutodesk;SoftimageはAvid Technology傘下に。


◆Emerging Technologies展示

18カ国から110点の応募があり、38点が採択された。
日本からの採択は以下の17点:


「bubble cosmos」、「Copycat Hand」、「Powered Shoes」=筑波大学;
「Embossed Touch Display: Illusory Elongation and Shrinking Tactile Objects」、「Perpetual Attraction Force: The Sixth Force」=NTTコミュニケーション科学基礎研究所;
「Fabcell」、「LivePic」=慶應義塾大学;
「Forehead Retina System」、「Tablescape Plus: Upstanding Tiny Displays on Tabletop Display」=東京大学;
「Freqtric Drums」、「Incompatible BLOCK」=九州大学;
「INVISIBLE〜The Shadow Chaser〜」=奈良先端科学技術大学院大学;
「Morphovision」=岩井俊雄&NHK放送技術研究所;
「Powder Screen」、「Tele-Kinesthetic Interaction」=東京工業大学;
「True 3D Display Using Laser Plasma in the Air」=Burton Inc、慶応大学、産業技術総合研究所;
「U-Tsu-Shi-O-Mi: The Virtual Humanoid You Can Reach」=東北大学、NTT ドコモ


◆SIGGRAPH-DCAJ円卓会議

7月31日、会場内No.153-1会議室において行われた。


◇ACM SIGGRAPH(=SIGGRAPHの実施母体)側よりの出席者:

S・オーウェン会長;A・ロックウッド副会長;北川日本リエゾン委員長;K・カーター国際委員長;青木国際委員

◇DCAJ側よりの出席者:

為ヶ谷女子美教授;松尾産業技術総合研究所国際部門長;五十嵐東大助教授;松島東大教授;西田東大教授;廣瀬東大教授;河口東大教授;田中氏(DNP);岩田、鈴木、浪越(DCAJ);金上海音楽学院教授(オブザーバー)

◇会議内容:

・DCAJ側より、DCAJの活動についてプ、とくに、2005年10月に東京でおこなわれたシンポジウム「SIGGRAPH: Gateway to Success」および、当SIGGRAPH2006においてDCAJが行う2つのセッションとレセプションについて説明。

・SIGGRAPHに対する日本の長年にわたる貢献についての説明がDCAJ側の出席者よりあり。

・日本からの技術論文採用が今回は1点もなかったことについて、DCAJ側よりは、日本の研究者は一般的に論文の書き方が上手いとは言えないとの言及あり;SIGGRAPH側より英語論文に関し、SIGGRAPHの添削サービス利用の推奨あり。


◆「Japanese Mind in Animation」(プレゼンテーション)
【DCC入賞作品の上映】

8月1日、午前10時より11時まで会場内インターナショナル・リソーシズ・センター(IRC)において、田中美苗氏の進行、為ヶ谷女子美教授の解説により、DCAJの2005年度「デジタル・クリエイターズ・コンペティション」の入賞作品の上映を行った。日頃、アメリカンテイストのアニメーションを見慣れている観客は、多岐にわたる感情・情緒をテーマにした日本の若いクリエイターのアニメーションに見入っていた。


◆「Industrial Application of CG in Japan」(プレゼンテーション)
【CGを利用して物理現象を理解しよう】
【満員の出席者】

続いて、午前11時より12時まで、同じくIRCにおいて、ソニー(株)シニア・リサーチャー 杉沼浩司氏を座長として、日本の製造業におけるCG利用について、以下の3つの講演からなるプレゼンテーションを開催した:

  1. 【1】「CGを利用して物理現象を理解しよう」
    講演者:独立行政法人 理化学研究所
    チームリーダー 小野謙二氏
  2. 【2】「自動車デザイン開発におけるCGの活用」
    講演者:日産自動車(株) 主管 畑山一郎氏
  3. 【3】「ルックスクラフト:実測したBRDFと高さマップを使ったレンダリング」
    講演者:デジタルファッション(株) エンジニア 木村 亮氏

◆「DCAJ レセプション」

8月1日、午後5:30より、ボストン市内のUmbiaレストランにおいて開催された。160名以上の方が参加し、河口東大教授の司会で多くのお客様からスピーチをいただき、超満員の会場ではCG学界・業界からの日米の参加者が盛んに交流を行った。


◆「DCAJセミナー:SIGGRAPH 2006報告」
【DCAJセミナー:SIGGRAPH 2006報告】

なお、8月28日午後4:30より、東京・千代田区平河町海運会館において「DCAJセミナー:SIGGRAPH 2006報告」が開催された。 前半は、為ヶ谷女子美教授によるSIGGRAPH 2006全体について解説、後半は、五十嵐東大助教授による「インタラクティブ・コンピューティング」と題された、今回のSIGGRAPHで表彰された研究についての講演。 人間の知覚・感覚に即した簡単な操作による作画を可能にする研究の過程を実際に画面で示しながら分かりやく説明する五十嵐助教授の講演に、詰め掛けた70人の参加者は熱心に耳を傾け、また、画面に見入った。 セミナー後、参加者の半数ほどがDCAJ事務所に場所を移し懇親会を行い、為ヶ谷教授、五十嵐助教授との、そして、参加者間の交流を行った。

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