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DCAJ news No.127
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ソウルキャラクターフェア2006レポート韓国コンテンツ最前線:2006年7月に韓国ソウル市で開催されたソウルキャラクターフェア2006のレポートを中心に、出版や音楽業界、ハードウェアにいたるまで、韓国のコンテンツビジネスを取り巻く最新事情をお届けします。
【韓国コンテンツ事情】

2006年7月韓国ソウル市で開催されたソウルキャラクターフェア2006とコンテンツ系の団体に行ってまいりました。目的の多くはこまごまとした業務打合せ等なのですがあまり面白くもありませんので、そのなかでうかがった韓国のコンテンツ事情をかいつまんでご報告いたします。私は韓国は初めてです。「韓国ならしょっちゅう行っているぜ」という方も多いと思います。「それは間違ってるよ」ということがございましたらぜひご指摘をお願いします。


◆ハードウェアはどうなっているか

サムソンの液晶テレビや現代の自動車など、世界を席巻している韓国のハイテク産業。
コンテンツとハードウェアは車の両輪にたとえられる。映画やTVドラマで大活躍するコンテンツ急伸国韓国。おそらく、電気製品などもちょっとアンダーグラウンドなものを含めてすごいことになっているのだろうと興奮しながらソウルの秋葉原といわれる龍山(ヨンサン)へ行ってみた。


[1] 行くのは地下鉄だ。ソウルの地下鉄は発達しており結構便利だ。頻繁にやってくる。しかも乗って驚くのが、車両の幅が広い。新幹線くらいあるのだろうか?そんな幅広の車両にシートは日本の地下鉄と同じ向かい合わせなので妙に対岸が遠く感じられる。更にシートが金属製。しかもベアメタル。銀色でつるんつるんのぴかぴかなのである。韓国ではご飯を食べるお茶碗・お箸が金属なのは知っていたが椅子までとは知らなかった。なんとなく冷たい感じがするが、布が無いだけ清潔である。考えてみればヨーロッパやアメリカでも短距離交通機関の椅子はたいていつるんとしたプラスチックで日本のようなふかふかの毛の生えた布のシートは珍しい。あの毛足のなかにムシやほこりが詰まっているかと思うと、鉄の椅子の方が良いような気がする。
[2]
龍山はすごい。すごいがちょっと変である。
駅を降り地上へ出ると秋葉原にもある、いかにもな小汚い店が並んでいる。歩道の屋台ではコピー品と思われるCDも売っている。売っているが北京のように大量に堂々と並んでいるわけではなく申し訳無さそうに少しだけ並んでいる。これじゃたいして売れているわけではなさそうである。あとで、韓国文化振興院(KOCCA)の音楽産業部門 チーム長さんに聞いたのだが、韓国では違法CDや違法DLはほとんど無くなり、合法ダウンロードに取って代わったそうである。
街並みはまるで秋葉原なのであるが人通りは少ない。驚くのは大きなビルが3〜4棟建っていることである。ヨドバシ秋葉店くらいの大きさのビルである。これが全部電気屋さんなのだそうだが、日本のラオックスだとかBICのように一棟まるまるひとつの会社というわけでは無さそうで一種のテナントビルのようなものらしい。
そのうちのひとつ、龍山駅の上に建つアイパークhttp://www.space9.co.kr/という巨大なショッピングモールの中にあるデジタルスペースというところを覗いてみる。8階建てで3万坪ほどの売り場面積があるとのことである。各フロアは商品カテゴリー別に分かれている。AV、白物、携帯などである。フロアごとに同業者がびっしりと並んでいる。異様に広い。しかも間仕切りが無い。携帯電話の場合韓国では大手3キャリアがあるが、全部の店がこのキャリアの販促物を使っているため店舗の境目がわからない。更に日本の携帯屋さんと同じように商品のモックが並んでいるのだが価格表示が全く無い。見ればわかるがこれは変である。どうやって店選びをしたりするんだろう?
平日の夕方でしたがこの広いフロアにお客さんはいませんでした。

 


 
※.1 インフォーマルな場で韓国コンテンツ事情聴取を行う図。日本と異なり、ビールは全部空けるまで注ぎ足さないのが流儀なのでいつもあわ立ちの良いものが飲めて幸せです。ほとんどの人が日本語を話してくれるので突然ソウルに来てもいてもいつものようにクダをまけるのです。
この不思議な光景を韓国コンテンツ業界の方々との飲み会で尋ねてみた。彼ら、(放送局とか公務員とかコンテンツ制作会社の社長さんとかそれなりの人ばかり)が言うに、「韓国はネットワーク社会が進んでいるからほとんどの人は携帯もNet通販で買う。だからリアル店舗はショウルームのようなものなので客が来なくてもいいのよ」「値段は個別交渉。そのほうが買い物の楽しみもある」。わかったようでわからん話です。真相をご存知の方がいらっしゃいましたら教えてください。他のビルも含めてテナントの空きは結構多く他人事ながらちょっと心配な感じです。
というわけで韓国ハードウェア事情は期待していたほど飛びぬけてはいませんでした。
[3] ところが、このデジタルスペースが入っているアイパークモールの地下にある韓国最大のスーパーマーケット E−MART は大盛況。黄色いシンボルカラーの店内は明るく清潔でにぎやかで、イトーヨーカドーの品揃えにジャスコのPOPを足したような感じです。並んでいるものは日本のGMSの食品売り場とほぼ同じで価格も全く同じ。無いのは固形のカレールーくらいでしょうか?このE−MARTは韓国を撤退したウォルマートを買収したことでも有名ですが、韓国では他にも仏系のカルフールも撤退しています。日本でもカルフールは撤退しましたが、買い物の嗜好も日韓は似ているのでしょうか。韓国は親子三代・四代にわたる大家族が多いのでスイカが大きいとか若干の違いはあるもののやっぱりルーツは同じだなとしみじみ思うひと時です。
◆出版事情

デジタルで世界に冠たる韓国ですが、アナログコンテンツの代表である出版はどうなっているのか財団法人 韓国出版研究所の研究部長 白 源根 様に聞いてみました。
ここでは出版は国そのものであることを教えられました。
韓国の出版事情を考える上で重要なことは以下の二点。


1.  人口が日本の1/3と少ないため市場が小さい。そのため特に雑誌の種類が少ない

2.  民主政権になるまで出版の自由が制限されていたので作家のブランクがある。


[1]市場規模と流通経路:韓国は教育熱心なので学習誌が多く発行されている。その市場規模は書籍3兆W 学習誌4兆W(約5千億円)と学習誌市場の方が大きい。書籍の市場規模は横ばいである。元々書店の数が少なく流通の力が弱かったのでアマゾン等のオンライン書店の売上げが伸びていて20%程度を占めている。とはいうものの最近全国にショッピングセンターができており、その中に書店とメディアショップ(CD/DVD)も必ずある。その数は200程度であるが今まで書店に行かなかった人に対しての販売機会が増えるのでそれはそれで良いと考えている。
[2]電子出版:韓国はブロードバンドの普及でNET化が急速に進んでおり新聞の購読率は40%に落ちている。E-BOOKもあるがその利用は図書館が70%。個人が有料コンテンツを買うことは少ない。ユビキタスBOOKと呼ばれるPCでも他のデバイスでも読むことができるものも出始めてきた。しかし、NET社会の弊害も多く今問題になっているのがアマゾンの拾い読みサービス。検索の範囲が広すぎるため該当するキーワードで何冊もの核心部分を読むことができてしまい購買に至らないケースが予測される。韓国のNET社会を占う上では音楽とゲームのゆくえが鍵。
[3]価格体系:書籍の小売価格は出版振興法で一応守られていることになっているが、オンライン書店と公取の圧力で1年以内10%までに限られるものの値引きが認められている。更に、マイレージについては制限が無いので実質無力化している。
[4]海外展開:輸出は中国向けが多い。中国は少子化政策で子供の教育への意欲が高いので良く売れる。日本向けには韓国ドラマとかごく特定のものを除いては出版企画はない。輸入は米国と日本がほとんど。マンガを含むと日本が米国を抜いて一位。雑誌は日本のananなどのテキストだけをハングルに直した女性向け誌が多い。
[5]COEXモールにある大型書店をのぞいた。巨大な売り場面積でも雑誌は数えるほどしかなかった。店舗の一角に日式の書籍(日本語書籍)の売り場があったが、雑誌売り場も同程度の広さであった。「電車男」の韓国語版などは当然普通の売り場に平積みされている。
◆音楽事情

KOCCA韓国文化コンテンツ振興院 音楽産業部門 チーム長 様に話を聞いた


[1] 韓国の音楽市場はブロードバンド社会の発展でダウンロードビジネスが盛んである。PtoPに対する規制が強化されたので、正規のビジネスが繁盛している。業者は携帯電話の3大キャリア(SKT、LG、KFT)がほぼ占有している。しかし、キャリアの力が強く、一曲あたりの単価がわずか500W(最近多少高くなり700W位するものがあるが著作権者側ではせめて1000Wに引き上げて欲しいといっている)で製作者側の不満が多い。その反面、市場規模の小ささ(韓国の人口約5000万人)と価格の安さからかAppleのiTunesMusicStoreの進出を阻止しているともいえる。
[2] 国内の音楽産業に関連する法律が今までは「音盤/ゲーム法」に含まれていた。今年の4月26日、やっと「音楽産業育成法」として分立し、その具体的な内容を調整している段階である。予定としては10月26日に施行令の完成とのことで、現在はその標準化などの設定中である。その内容にはカラオケが音楽産業の範囲に入ることと信託管理団体の役割分担なども入る。
[3] 現在、韓国内の信託管理団体は3つある。「KOMCA」、「韓国芸術実演者団体」、「韓国音源制作者団体」がそれであり、各団体はその信託の内容が異なり、日本と違い、人的信託である。例えばKOMCAは作詞、作曲、編曲者などの信託、韓国芸術実演者団体はその曲の演奏家など、韓国音源制作者団体は音源をもっている製作者からの信託を行っている。10月発表予定の施行令にはある程度、標準化されると思われる。また、それ以降は日本のような個別信託を目指すことであろう。
[4] 韓国の音楽業者の日本市場に対する期待はとても大きいと感じる。もちろん13億人の中国市場は大きいが、市場として安定し、安心できる(JASRAC、日本レコード協会などの存在)面で、日本の市場はとても魅力的である。KOCCAの音楽チームはその支援事業として、海外進出事業の一環で海外でのトレードショウを開催している。去年、7月には日本で開催し、今年は上海で11月に開催する。

◆映像産業

KOFIC韓国フィルム評議会 AV戦略計画部門 李王鎬様 政策研究開発部門 都東駿様に話を聞いた。


[1] KOFIC(映画振興委員会)では毎年、韓国映画年鑑を発刊している。今年も年末に発刊の予定である。
[2] 韓国の映画市場(洋/邦画)は90年代にとても盛り上がったが、2000年代に入ってからは下降気味である。その原因はインターネットでのダウンロードである。海賊版DVDなどはほとんど無くなっているが、ブロードバンド環境が整備され、無料ダウンロードが堂々行われている。残念なことだが、あるポータルサイトの会員加入宣伝に'2分で映画1作品がダウンロード出来ます!'とのようなコピーもあったくらいだ。
[3] 音楽市場の場合、有料化問題はほとんど解決されたが、映画はまだダウンロードの公式サイトが存在しないのが現況。これからの課題である。
[4] とはいうものの、確かに韓国映画は元気である。2005年の輸出契約金額は7,600万ドルだった。その70%は日本である。それ以外のマーケットもほとんどアジア圏である。
[5] 販売構成比が大きい分、日本の映画市場に対する関心はとても高い。その割には日本の映画市場に関する情報や市場分析の数字などを手に入れるのに資料が少ない。今も日本市場に関しては「キネマ旬報」の資料を使っている。
[6] 韓国映画市場に関する資料はKOFICのホームページhttp://www.koreanfilm.or.kr/で簡単に検索できる。ご活用いただきたい。

◆ソウルキャラクターフェア2006
 
 

ソウルの新しい文化の中心 COEXモールの展示会場で行われた。会場は東京国際展示場をもっときれいにした感じ。広さは東京アニメフェアの2/3程度の広さ。出展100社程度。


訪れた日はビジネスデイとはいうものの、子供や家族連れも多くビジネスそのものとしてはちょっとさみしい感じ。ぱっと見、東京アニメフェアとよく似た感じであった。やはりキティちゃんやドラえもん。ディズニーの面々など日ごろ見慣れたものが並んでいるからだろうか。
会場の一角には地方のコンテンツ産業振興施設のブースがあり、入居している企業の紹介からその会社の宣伝用のギブアウェイまで面倒をみてやっているという至れり尽くせりのところもある。
元より愛想の良い人間なので、韓国企業のブースでメイドさんのコスプレをしているお嬢さんに「こんにちは」と言ったら「こんちには!」と日本語で返してくれた。聞いてみると高校生で今日はアルバイトだそう。今度の休みに東京へ行くので日本語を練習しているのだと話してくれた。東京旅行が楽しい思い出になるといいのだが。


出展各社に聞いて回った話をまとめると以下のようになる。


[1] 日本製のキャラクターは韓国で活躍しているか?昨年のキャラクタービジネスのシェア一位は"MashiMaro"マシマロであった。その前はプッカでいずれも韓国製のキャラクター。ただし単年でピークは過ぎ、入れ替わりが速い。マシマロもプッカもFLASHアニメでバックグラウンドとなるストーリーを創っている。
[2] キャラクターの輸入は圧倒的に日本からが多いが、輸出先は中国が多く欧州や日本は少ない。中国ではプッカの単独キャラクターショップを100店展開しており特筆できる。マシマロは韓国では大人気となったものの日本でのビジネスはぱっとしなかった。バックグラウンドにあるストーリーをはじめとするプロモーションがいまひとつであったため価値を十分伝えることができなかった。日本導入後1年経過したころから日本製のキャラクターに比べてプロモーションに差がついてしまった。日本でのビジネスは日本のビジネスの風土を理解している日本のエージェントに任せるという会社が多い。しかし、彼らは韓国製のキャラクターの育成に熱意が弱いのではないかと感じることもある。
[3] もっと開拓を進めたい輸出先は米国である。周辺ビジネスが成熟しているのと、ここで作ればWorldWideが前提となりビジネスの幅が広がる。予算も当然グローバル展開を前提としている。中国とのビジネスも当然念頭においているが、中国独自のテイストの要求が多く、そのわりに周辺ビジネスが育っていないので今の規模では魅力が少ない。海賊版問題も当然ある。
[4] 韓国でもキャラクタービジネスは厳しくなってきている。携帯電話・音楽配信さらにアパレル等にForKidsと称する"ブランド物"が進出してきたため若者に魅力的なお金の支出先が増え、キャラクターグッズに費やすお金が減った。アニメは見るけど商品は買わないという中高校生が増えたのだ。結果としてキャラクタービジネスの顧客が児童と幼児だけになってきている。
[5] 本来キャラクタービジネスは古くから続く物語や絵本やアニメーションなどの世界観やエピソードをすべてひっくるめた象徴としてあるのだが、韓国製のキャラクターはどちらかといえば物語は後づけか平行で、アニメーションにしてもWebでのFlashが多い。日本の場合は歴史のあるキャラクターも多いし、新しいキャラクターもほとんどは地上波TV出身でビジネスに関しての広範なスキームができあがっている。このあたりに差がある。

◆韓国コンテンツ業界の方々とお話して・・・

ソウルでは(民間企業でも業界団体でも)どの部署へ行っても日本語を話す人が対応してくれる。別に海外担当とかでなく、極めてドメスティックな担当の方も日本語を話してくれる。私は韓国語が話せない。あいさつは練習して行ったのだが先に日本語で話されてしまい役に立たなかった。もちろんこちらから「日本人が行く」とお願いしていることもあるがそれだけではない。ビジネスの相手先の多くが日本だからということももちろんある。 しかし一番脅威なのはその日本語がすこし"ヘタ"なことである。つまり、在日の人とかで最初から話せるのではなく"学習"して身に着けられた日本語なのである。 もちろん日本語を話さない人もたくさんいる。そんな人とお話をしていてうっかり英語の単語を交えたりすると「なあんだお前、英語なら話せるのかぁ」という感じでべらべら英語で話されて「あわわ、私は英語もダメなんですよぉ」とあわてて謝ることになる。 おいおい、韓国はバイリンガル、トライリンガルばっかりじゃないか。


同行した当協会の羅さん(韓国出身)に聞いたところ、80年代後半から韓国では息子、娘を積極的に海外の学校に出す親が増えたとのこと。多くの人が韓国の生きる道は世界中なのだということを体にしみこませているのだなと思う。日本にいるとその業界の人以外は実感しないが、サムソンのテレビもヒュンダイの自動車も造船も鉄鋼も気が付けば韓国製品は世界のトップクラスに君臨している。人口は日本の1/3なのにである。


韓国が次に世界に君臨するビジネスはどの分野かな。

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