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DCAJ news No.128
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国内レポート:10月度 DCAJセミナー『デジタルコンテンツ白書2006』発刊セミナー:コンテンツビジネス拡大の方策とは?:2006年10月17日(火)、東京・秋葉原のデジタルハリウッド大学にて、国内コンテンツビジネスの新展開と拡大を見据えたセミナーが開催された。会場ではアニメから映画、メディア、オタク文化などを題材に、コンテンツ産業の未来が多角的に論じられた。
10月度DCAJセミナー『デジタルコンテンツ白書2006』発刊セミナー
■日時: 2006年10月17日(火)14 : 00〜17 : 30  
■会場:   デジタルハリウッド大学 秋葉原メインキャンパス 講義室  
■主催:   財団法人デジタルコンテンツ協会  
■協力:   デジタルハリウッド大学  
■テーマ:   コンテンツビジネス拡大の方策とは?
−日本のコンテンツパワー、新たなビジネスモデルの構築にむけて−
 


1.ご挨拶
小糸正樹 経済産業省 商務情報政策局 文化情報関連産業課長

小糸氏は、デジタルコンテンツ白書について、「コンテンツ業界全体の市場規模や個々の市場動向をこれだけ記載しているものは他にない。もう一つは、執筆者個々の内容に非常に付加価値の高い中身の濃いものが数多くあり、我々も政策立案の参考にしている。」と語り、更に、現在の国が進めているコンテンツ政策について「今のコンテンツ産業振興政策は前・小泉内閣のときに始まったものであるが、この流れは安倍内閣にも引き継がれている。私共、今後とも積極的に支援していきたいと思っている。」と語った。

2.「2005年の日本のコンテンツビジネスに見られた成功事例」
福冨忠和 デジタルハリウッド大学 教授

●コンテンツ市場全体の概要

2005年の国内コンテンツ市場全体の規模は約13.7兆円、前年比1.3%の伸び(ほぼ横ばい)である。その中で特に伸び率が高いのはDVDレンタル、インターネット配信、携帯電話配信である。ただし、ビデオカセットセルが激減していることから、DVDレンタルの伸びは、VHSからDVDへのリプレース(移行)によるものと考えられる。一方、インターネット配信、携帯電話配信は2005年のIT産業の躍進あるいは通信と放送の融合と関連するキー要素である。
分野別にみると、音楽ではインターネットによる配信が前年比約6倍に急伸している。ただ、規模としては携帯電話による配信と比べそれほど大きくはなっていない。また、ゲームではオンラインゲームや携帯電話向けゲームが伸びている。家庭用ゲームソフトの市場規模は前年比ほぼ横ばいであるが、まだオンラインゲームが家庭用ゲーム機の市場を食っている状況ではなく、家庭用ゲーム機の市場とは異なるところをオンラインゲームが開拓しているとみることができる。その他に伸びたものとして電子書籍があり、パソコン向けの電子書籍が昨年比で倍ぐらいに、また携帯電話向けは昨年比5倍になっている。いずれも書籍全体の市場規模からみると0.1%程度と非常に小さいが、ようやくオンラインでマンガ、写真集、本などを購入する機運が出てきたように見受けられる。

●デジタルコンテンツ市場について

白書では、コンテンツのうち、デジタル形式で記録されたものをデジタルコンテンツと定義づけている。コンテンツ市場全体では前年比1.3%の伸びであったものが、デジタルコンテンツに限ると市場規模は約2.5兆円、前年比1割ぐらい伸びている。このデジタルコンテンツ市場の伸びがコンテンツ市場全体の伸びになっているとみることができる。何が伸びているかについてはコンテンツ市場全体の中で紹介した通りである。

●2005年の成功事例

2005年は、アップルがiTMS他の事業を成功させ、GyaOのような映像配信が出てくるなど、ネットワーク配信すなわちネットワークで映像や音楽を配信することが今後一般化するのではないかと強く印象づけられた。
ただ、一気にネットワーク配信が進まないのは、一般に言われていることだが、コンテンツのネットワーク配信では複製コストと配信コストが非常に低いからである。このため市場原理からコンテンツの価格も非常に安くなり、パッケージと同じ値段では買って貰えなくなった。売り手は価格決定の主導性をもてず、儲かる値段で売ることができない。
ではどうすればいいのか、提唱されていることが三つぐらいある。一つは複製防止を施すことであり、DRMを付加した音楽配信がこの例である。勝手にコピーできないのでモノと同じような稀少性がある。二つ目は、情報提供は非常に安い値段にし、一緒に他のモノを売るという考え方である。この大きな成功例がアップルだと思う。アップルは採算がとれない価格で音楽配信をし、iPodを売って収益を得ていると推測される。三つ目は、情報提供によってサービスや他の形でコストを回収する方法である。この例としてmixi(ミクシィ)やGyaOがあり、いずれも広告収入を得ている。
アップルの例の場合、日本では先行する成功例として「着うたフル」があり、これとアップルの音楽配信が競合するのではないかと考えている人が多いが、そうではない。「着うたフル」が若年層を中心にヒット曲に集中してダウンロードされるのに対して、アップルの音楽配信はいわゆるロングテールと言われ、数多くの楽曲にわたってダウンロードされている。したがって両者の市場が重複することはなく、アップルの音楽配信は新しい市場をつくり出していると言える。

●最後に

ネットワーク配信の成功例に共通するのは、GyaOやバンダイのように、自らがコンテンツをコントロールし多メディア展開していることである。多メディア展開とは、要するにワンソース・マルチユース、映画ではウィンドウ戦略と言われているものであり、以前は一つのメディアでの成功を多メディアに展開し付加的な収益を得るという考え方であった。
しかし、今はそうではなくなっており、最初から多メディア展開をする。バンダイの例がその典型であるが、初めからキャラクタ商品、テレビ放映、ネット配信、ゲームというように展開する。言わば、アメリカのメディアコングロマリットが1990年代に一般化した方向である。この後、フジテレビの清水氏にお話していただくが、フジテレビの映画戦略も一種のメディアコングロマリットであり、一つのコンテンツを自らが持っているチャネルにいろんな方法で展開していくという考え方をとっている。これは、様々なチャネルを持ってDVD販売もやれば有線放送もやっているUSENも同様である。そうなると、元々コンテンツをメディアに流すことが得意な、いわゆるマスメディア型のところが有利になっていると言えるかと思う。
ここに挙げた例は白書でも紹介しているので参照してほしい。

3.講演:「日本のコンテンツパワーの源泉として注目されるオタク文化」
堀田純司 ノンフィクションライター

●はじめに

そもそもオタク文化とは何かであるが、自分ではキャラクタを中心にしたファン活動であると考えている。ここでキャラクタというのはマンガやアニメーションの2次元のキャラクタである。
この2次元のキャラクタの魅力は一体何なのだろうか。例えば雑誌の表紙であるが、表紙にタレントを使う雑誌もあれば、マンガのキャラクタしか使わない雑誌もある。後者ははっきりしたポリシーがあってのことで、優れた才能をもった作家が描き出したキャラクタの絵は現実を凌駕し、万の言葉にも勝るという。また、タレントであれば旬というものが存在するが、キャラクタには風化しないという長所がある。更には、無国籍であるという長所もある。日本のキャラクタビジネスがアメリカに匹敵するぐらいの市場規模を持ち得るのは、キャラクタが無国籍であることが大きいと思う。
こう言うと、小説も同じではないかと思われるが、小説のキャラクタは皆が思い思いの人間像として描かれているので、共にファン活動を楽しむのは難しいところがある。マンガやアニメーションのキャラクタの場合、ビジュアルがあるお陰で、自分はここがいいと言うように共有化できるし、キャラクタを中心にして同人誌を執筆することができる。また、ファン活動を楽しむと同時に、そこに商品活動を投入することもできる。この辺りが小説のキャラクタとは異なる点だと思っている。

●オタク文化

1970年代がオタク文化の萌芽期で、コミックマーケットの第1回が1977年に開催された。社会的動向として認知されたのは「機動戦士ガンダム」で、テレビで放映されたのが1979年、映画として公開されたのが1981年であった。この時期にアニメーションがエンターテインメントの王座に踊り出たと言ってもよいのではないかと思っている。マニアと呼ばれていた層からオタクと呼ばれる層が生まれ、象徴的な商品(商品形態)としてオリジナル ビデオ アニメーション(OVA)が登場した。ただ、オタクと呼ばれる人々を対象にして商業資本がキャラクタビジネスを展開することはなかった。
しかしそれが幸いして、無ければ自分達でつくってしまおうという志向がこの時期にみられ、これがいわゆるオタク文化の原点ではないかと思っている。非常に精巧なフィギュアの型を自分達でつくって少数生産するという世界――ガレージキットと呼ばれるが、その第1回見本市が1985年に開催された。また、今でこそ秋葉原の華ともなっているコスプレもほぼこの時期に確立されている。
日本の社会がオタクというものを、そして小集団が形成されていることを知ったのは1990年代中盤に入ってからであったと思う。その契機は「新世紀エバンゲリオン」の大ヒットであった。また、コミックマーケットの参加者数がオタク文化の拡大を示しているが、第1回の1977年は700人であったのが、1990年代中盤には約50万人に達した。初めてコミックマーケットを見たのは2001年であったが、人生観が変わるぐらいの衝撃であった。年2回開催されており、ライブなコンテンツパワーの源泉を知りたいという方は早朝から会場に赴かれることを勧めたい。
オタクの人々がファン活動をどのように楽しんでいるかをみる顕著な例として「等身大」と呼ばれるフィギュアや、キャラクタをプリントした「抱き枕」がある。先にキャラクタの長所を挙げたが、欠点は感触がないことである。オタクの人々にとっては「等身大」は生身のリアリティを感じようとするものであり、高額商品なのに買い手がある。また、「抱き枕」は抱いて寝ることによってキャラクタを楽しもうとするもので、元はコミックマーケットの場で考え出したものであるが、今やキャラクタグッズの定番にもなっている。

●秋葉原の現状

現在注目が集まっている日本のコンテンツ産業の源泉とも言える秋葉原――白書では、その実態というかファンの人々がどんな活動をしているか、その息吹を伝えようと特集記事を書いた。
秋葉原駅前ではメイドがチラシを配布しているのが欠かせぬ光景になり、土曜・日曜は歩行者天国になっている。面白いのは、従来からの商店とメイドなどのオタク産業が平然と同居している点である。撮影会では見せ手であるモデルと撮り手であるファンの交流が盛んである。秋葉原に集まるオタクの人達は皆、アニメーションやマンガのコンテンツを共有して育った人々なので、すぐ友達になることができる。このような活動を称して、学校や職場とは異なる集団に所属できるという意味で「巨大なクラブ活動」と言う人もいる。
秋葉原は情報の中心地として機能し始めていると言われる。2006年、秋葉原は“常設のイベント空間”として非常に盛り上がった。この傾向はまだ始まったばかりであり、どんどんとライブなコミュケーション都市になっていくのではないかと思う。

●女性の消費

今まで述べてきたオタク文化の世界は大雑把に言って男性のファン活動であった。男性はこれまでほとんどキャラクタビジネスの相手にされることがなく、1990年代の不況期には男性相手の商売はほぼ死滅したと言ってよいぐらいであった。ところが2003年あたりから、男性の趣味の消費が活発になっていると数値でも示されるようになった。それでオタクも「萌え」も注目されたのではないかと思っている。
最後にすべてをひっくり返すようなことを言うが、実はコミックマーケットの参加者は第1回から女性の方が多かった。今でも女性の方が多いと言われている。例えば韓流ブームやジャニーズのファン活動など、本来、ファン活動の主役は女性である。「宇宙戦艦ヤマト」も「機動戦士ガンダム」も女性のファンから火がつき、今もオタク的な作品は女性のファンがつかないと売れないと言われている。
また元来、女性向けのコンテンツの世界は認知されるまで時間がかかると言われていた。例えば男性は発売日の当日にゲームを買ってしまうが、女性は1ヶ月経ってゲームの評価が定まってからようやく買う。だがこれも、近年は変化が見られるようである。昨今、東池袋の「ボーイズラブ」と呼ばれる世界――男同士が恋愛を繰り広げるのを女性が見て楽しむという世界――がニュースで取り上げられることが多くなったが、この「ボーイズラブ」の世界に参入して非常に短期間で成功を収めた企業も現れている。また、マンガの携帯電話配信でも女性向けの「ボーイズラブ」の世界が非常に伸びている。キャラクタビジネスにおいて女性の消費で本当の姿が現れるのはこれからではないか。

4.講演「フジテレビの映画ビジネス戦略」
清水賢治 フジテレビジョン 映画事業局 映画制作部 部長

●映画とテレビ

昨年は洋画・邦画の公開本数の比率がほぼイーブンになったが、フジテレビは映画で驚くような興行収入(以下、興収)を生み出している。テレビ局が映画をやる理由をよく聞かれるが、当初はテレビの人間に映画など作れないと思われており、ほとんどの作品は映画監督で作っていた。テレビドラマの監督が映画をやるようになったのは1990年代後半からである。最近「踊る大捜査線」という大ヒットが生まれたことにより、映画界にテレビ監督が通用することが十分認知されたと思う。
テレビ局の社員はどれだけのソフト制作経験があるのかという点であるが、例えばフジテレビの年間の編成制作予算(いわゆる番組の予算)は約1千億円で、現場に入って10年も経ったら何百本もの番組を作ってしまう。映画監督が映画を作る本数より遥かに多い。この点では映画界だけで育ってくる人よりも制作経験を積んでいると言うことができ、技術も早く身についてしまう。しかし慣れた職人さんになりやすいという悪い面もある。毎日視聴率が出てくるので、こうすれば当たるだろうかと考えたりし、自分が最初に何をやろうとしていたのか根本が分からなくなってしまうことがある。

●メディアミックス展開

フジテレビとしては「南極物語」(1983年公開)の映画製作に乗り出したとき、国民映画と言って大々的なスポット展開をし、初めてメディアミックスを行った。当時のフジテレビには、『フジテレビはテレビ局ではなくソフト制作工場であるべき』と言う一種カリスマの人がいた。テレビ局というのは電波をもっているだけでなく、根本はソフト制作工場であって、その出口はテレビでなくてもよく、映画を作りたければ映画製作を、その後ビデオを作りたければビデオプレスすればよいという考えである。BSだ、CSだと新しい出口ができる毎にいち早くそれらのメディアに進出してやって行こう、作りたいソフトは同じではないかと。そこからフジテレビはソフト工場であることを標榜するようになり、映画製作に積極的に乗り出していった。
近年は放送外収入(広告収入)が伸び悩んでおり、放送外収入や利益率を高めることが至上命題になってきた。このことも各局が映画に乗り出してきた理由の一つでもあると思う。余談ぎみになるが、映画は買うと物凄く高い。ハリウッドの大作映画を買うと1本で何十億円とする。例えば興収100億円の映画だと、放送権料は5億円ぐらいが目安になる。テレビ局としては、2時間の放送枠でただ1回放映するだけで5億円が消えていくことになる。ただし、通常は単品買いでなく、その他の映画を何本か含めてパッケージとして購入し、深夜に放映したりしている。2000年以降、洋画の視聴率がかなり低下しているにもかかわらず、地上波での放送権料は今だに高いままである。であれば自分達で映画を作ればいいではないか、となってきた。
自分達で作った映画が当たればいい事ずくめになる。どの放送局も、自分達で作ろう、宣伝して当てようとし始め、邦画の製作本数が飛躍的に増えた。映画業界では、これは一過性のものであって洋画がまた強くなるのではないかという見方が多いが、我々は、邦画が結構いい勝負をする傾向は続くだろうと見ている。また少し脱線してしまうかもしれないが、『すべてのソフトはドメスティックになる』というのが持論である。あらゆる大衆娯楽は、最初は輸入品で始まるが、自分達で作るようになれば、国内での制作の方が絶対有利である。例えばアニメーションは米国製に取って代わったし、テレビドラマもだんだんと日本製になった。映画も同じで、日本には無いジャンルあるいは日本では無理というものでない限り、置き換わっていくだろうと思う。
国産のメジャーな作り手として我々があり、地道な経験をしてきた。それがようやく花開いてきたというのがここ20年間の成果だと思っている。

●映画の企画

フジテレビは映画の企画をどのように立てているかであるが、先ずやってはいけないことはヒットメーカーを連れてくること。当たった人はとかく我儘になりがちであり、なかなか人の言うことを聞かない。当たった人を揃えると大体は空中分解してつまらないものが出来上がる。これは失敗しないための第一の鉄則である。また、当たるものははっきりしていないが、絶対にコケるだろうというものははっきりしている。したがって当たるパターンを探すよりは、絶対にコケるパターンを排除すること。そして一方で当たりやすい環境を作ること。これによって企画に多様性が生まれる。
映画は比較的単純なビジネスであり、観客席の数が決まっているため、得られる興収が予測できてしまう。倍の製作費をかけたからといって倍の鑑賞券が売れるかというと無理である。日本映画の場合、適正な製作費はハリウッドの1/10と言われているが、5億円を超えたら相当当てないと採算がとれない。しかし、興収1億円クラスでさえ、年間何本ぐらいあるかと言うと、そんなに無い。だから、プロデューサーに面白い企画を持ってこられても、ではいくらで作れるのかを問うことになる。
我々の中では、人は管理しても企画は管理するなと言っている。企画がある一定の範囲の条件をクリアーしていれば、あまり文句はつけないようにしている。管理しようとすると、自らの成功体験を押し付けがけになり、結局は同じような企画しか認められなくのを防ぐためである。
こうやって出てきた幸運な企画を最適なメディアで送り出してやる。出口はいろいろとあるので、映画として送り出すだけでなく、テレビがいいと思えばテレビの方に推薦したりする。

●映画の公開

一番大変なのは、映画は公開して当てることである。面白いというのが先ず基本であるが、どうすれば観客に面白そうと思わせるか、これが出来ないと意味がない。映画は、ただ知名度を上げるだけでなく、中身がどうなのか、ポイントをキチンと伝えられるかどうか、到達度が非常に重要になってくる。そのためには、テレビメディアだけでなく、活字メディアや、映画館での予告・宣伝も大事である。例えば女性がターゲットの場合、女性雑誌における映画の批評記事などがすごく大事になってくる。
映画は公開期間が4週か5週しかない。自分が見る側になると、ちょっと見逃すともうロードショーが終わってしまっているということになる。月間で2本以上見るというのはなかなか大変であり、今この映画を見ないと話題に乗り遅れてしまう(イベント感)と思わせないと、なかなか映画館に足を運ばない。そうなると、ベスト2の映画に入らなければダメで、5位以下の作品になると興収がドンと下がるというのも理解できる。3位以下になるようであれば公開時期をずらすのも有効である。「海猿2」(5月公開)があそこまでヒットしたのは、洋画の大作がワールドカップのために6月の公開を見合わせており、その間も走れたことが大きい。
アメリカの映画を見て分かるように、稼ぐのは新作が出てほぼ1週間の間である。2週、3週に入ったらもう終わりという感じさえある。ヒットしない映画は公開日数が多くあってもあまり意味がないことになる。特に最近はシネコンが6割強あり、コケた映画は3週間で打ち切られる(2週間の例もある)。これは映画のコンビニ化とも言われているが、売れ筋つまり当たっている映画には例えば3スクリーンが割り当てられる。1映画につき1スクリーンなら、残り2本の映画ははじき出されるということになる。本来であればもっと稼げた映画が稼げないまま終わってしまう。したがって、より勝ち組みに入るためにも、この週は絶対にこれを見ないと…と思わせるぐらいに盛り上げていく作業・労力が大事になってきていると思う。

●ネットの活用

映画に関しては、ネットの活用はすでにかなり行われている。「踊る大捜査線」も、実はインターネットの世界が一番反応してくれ、そこのファンによって引き上げられた作品だろうと思っている。映画は1 wayのメディアであるが、お客の参加できる2 wayはインターネットならではのものである。興行の成功を左右するという面からも、ネットの活用は大変重要になっていると思う。
ネットの活用は、新作映画を公開する場面だけでなく、今後、映画配信をどうするのかというところにも関係し、この辺は近々避けられない世界になってくるだろう。

5.総括「コンテンツビジネス拡大の方策とは?」
進行: 福冨忠和 氏
パネラー: 堀田純司 氏、清水賢治 氏
特別参加: 杉山知之 デジハリ学校長/デジタルハリウッド大学・大学院学長

会場の一般参加者との質疑応答をまじえながら、それぞれ自由に意見が述べられ、ディスカッションが行われた。主だった考えや意見は次の通り。

●清水氏:

映画の輸出に関する取り組みについては、海外でのビジネスを、この20数年間、向こうに製作プロダクションをつくってみたり、ありとあらゆる形で試みたが、どれも上手くいっていないのが実情である。海外での映画ビジネスは、ハリウッドで当たらなければ意味がなく、北米をターゲットにしたものでないと実のあるものにはならないと考えている。しかしハリウッドで成功するためには向こうに相当馴染んでいかないとダメである。
最近、我々が考えているのは、出来上がった作品を売るというのではなく、企画を売り込むという方向である。実際の製作は向こうでやってもらうのが一番ローリスクではある。ただし、ハイリターンかと言われると、製作に加わらない限りハイリターンはない。したがって、製作するときに向こうの良きパートナー(メジャーなスタジオ系など)と組み、製作協定に絡んでいって監督をこちらから送り込めればベストである。

●堀田氏:

オタク文化のコアマーケットと一般的なマスセールスとの間には乖離が存在しているのは確かだと思う。例えば「機動戦士ガンダム」などの大ヒットは、やはり大手商業資本の方からコアなオタク文化を取り入れたときに起こっているのではないかと感じている。オタク文化の盛り上がりが商業作品に影響を与えている例として、コミックマーケットで1990年代中盤に現れ、2〜3年おいてマイナー誌(アダルト誌や美少女雑誌)が取り上げ、1990年代後半に大手雑誌が取り上げるようになって大ヒットを記録したというような例がある。ただ、これまではマンガやアニメーションのキャラクタの最先端の発信の場はコミックマーケットであったが、今それがインターネットに移行しているのではないか。

●杉山氏:

コミックマーケットのファンの中には、同人誌を書いてメジャーコンテンツを作る側に回った人がいるかもしれないが、皆が上手くマンガを描けるわけではない。音楽の分野でも同じようなことがあったかと思う。映像の分野でも、パソコンのお陰で映像を編集して楽しむ人が多くなり、制作者気取りの人(悪いことではないが)がどんどん増えてきている。産業界としてみればファンも大事だし、作り手が育つことも大事である。
我々が関係するCGやデジタル映像の分野ではパチンコ・パチスロの仕事をしている人が増えている。都内のCGプロダクションでは年間の仕事の半分くらいをパチンコ・パチスロの仕事が占めており、立派なコンテンツ産業だと思っている。パチンコ・パチスロ産業の規模をそのままコンテンツ産業の規模に加算するわけにはいかないだろうが、白書に数字として反映されれば有難い。


以上。

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