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DCAJ news No.129
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Feature:グローバル展開に向けた広域アジア戦略:日・韓コンテンツ産業のアジア戦略:アジアを皮切りに、着々と世界展開を進める韓国の文化コンテンツ産業。一方、ここにきて日本が生み出す「クール・コンテンツ・パワー」も見直されはじめている。2007年1月11日、東京・青山にて、コンテンツ産業の今後を展望するセミナーが、両国の有識者を招いて開催された。
韓国と日本の文化コンテンツ産業
〜グローバル展開に向けた汎アジア戦略のありかた〜

2007年1月11日、本年最初のDCAJセミナーを韓国文化コンテンツ振興院協力のもと、以下の通り実施した。

◆セミナー開催概要

タイトル:   韓国と日本の文化コンテンツ産業
〜グローバル展開に向けた汎アジア戦略のありかた〜
日時:   2007年1月11日(木)  
場所:   ホテルプレジデント青山(東京都港区南青山2-2-3)2F アリアホール  
主催:   経済産業省、(財)デジタルコンテンツ協会  
後援:   韓国文化コンテンツ振興院  
プログラム:   <日韓通訳付き>  
 
15:30-15:35 開会挨拶
    (財)デジタルコンテンツ協会 専務理事 角田 周一
15:35-16:35   韓国文化コンテンツ産業の現況と展望
    韓国文化コンテンツ振興院 院長  徐 炳文 氏
16:35-16:40   − 休  憩 −
16:40-17:40   日本のコンテンツ産業と国際協調
    東京大学 大学院 教授      浜野 保樹 氏

◆開催の趣旨

韓国の文化コンテンツ産業は、限られたマーケットを克服するというモチベーションが奏功し、韓流の例を挙げるまでもなく着々とアジア、世界へと展開を拡大している。また、日本においても、ダグラス・マッグレイ氏が書いた「Japan's Gross National Cool」から約5年の時を経て、今また日本のクール・コンテンツ・パワーが見直されている。
そこで、韓国の文化コンテンツ産業を育成し情報を発信する基地である韓国文化コンテンツ振興院(KOCCA)の徐炳文院長を韓国からお招きし、「韓国文化コンテンツ産業の現況と展望」について語っていただくと共に、日本のコンテンツ産業の第一人者である東京大学大学院の浜野保樹教授に「日本のコンテンツ産業と国際協調」についてお話いただくという趣旨のもと、本セミナーを開催した。


「韓国文化コンテンツ産業の現況と展望」 韓国文化コンテンツ振興院院長 徐 炳文氏
【韓国文化コンテンツ振興院院長 徐 炳文氏】

◆文化コンテンツ産業発展の契機

2001年、コンテンツ産業育成の目的で韓国政府が韓国文化コンテンツ振興院を設立した。当時サムソングループで通信とコンテンツ関連の業務に携わっていた私は、振興院設立を担当することになり、大変稀なケースであるが企業から政府側に移って初代文化コンテンツ振興院長となった。
2000年代になってコンテンツ産業がスポットライトを浴び始めるが、これは80年代、90年代のソフトウェア産業や情報通信の発達がベースになっており、それが無ければコンテンツ産業は伝統的な大衆文化の域を出なかったといえる。そして21世紀は、文化産業が経済を牛耳る時代である。

◆コンテンツを取り巻く急激な環境変化

現在使っている「文化コンテンツ産業」という言葉は、文化コンテンツ振興院設立時に作った言葉。アニメーション、キャラクター、音楽、公演、放送、映画、ゲーム、漫画、モバイルコンテンツ、エデュテイメント等が含まれる。もともとアナログであったものがデジタル化によりデジタルコンテンツになり、今後のユビキタス社会においてはユビキタスコンテンツと呼ぶようになるかも知れない。技術の発展に合わせ、コンテンツも環境に応じて変化していく。
メディアとコンテンツを取り巻く環境変化の勢いはすさまじくブロードバンド化、そして3Gから4Gの時代へ移行しつつある。今はコンバージェンスの時代でもある。電話、インターネット、放送、全てが融合しユビキタス社会が到来し、コンテンツ業界が技術の発展にどう対応していくか、ということが大きな課題である。

◆国際競争力を持つ産業としての発展

世界のサービス産業が急成長する中、かつて韓国のサービス産業は、運輸、物流、ホテル、金融等、どれも国際競争力がなかった。しかし、5年前にコンテンツ産業を集中的に育成し始めてから、「韓流」として対外的な競争力を持つまでに成長した。韓国の文化コンテンツ産業は、この5年間で8.6%の成長を遂げている。韓国の雇用状況においても、全体の雇用の伸びはここ5年間で2%であるのに比して文化コンテンツ産業は約8%の雇用増加率である。市場全体としても、10年前は製造業が大きかったのに比べ、超高速デジタルネット時代を迎え、現在では製造業と文化コンテンツ市場はその規模に差がなくなってきている。
韓国では文化コンテンツ産業の重要性を真摯に捉え、2003年度には韓国の10大次世代成長産業に文化コンテンツも選定されている。2003年10月には盧武鉉大統領が文化コンテンツ振興院を訪問し、コンテンツ産業育成の重要性を述べている。
韓国の伝統的な食品産業、家電産業等の企業も、映画制作、音楽、公演等のコンテンツ産業に乗り出している。また、通信会社もインフラだけでなくコンテンツに力を入れ始めている。世界的な課題である通信と放送の融合も、韓国においても最重要、喫緊のテーマの一つである。

◆韓国文化コンテンツ産業の目標

まだ韓国のコンテンツ産業はスタートに過ぎず、アニメーション大国日本のような水準には至っていないが、キャラクター分野等、成長を遂げつつあるジャンルもある。オンラインゲームや映画も競争力をつけており、ドラマについても一時的な現象に終わらせず主要な輸出産業のひとつとして推進していきたい。最も重要なジャンルの一つと考えているのはモバイル産業。全てのコンテンツを使うことができるモバイルの市場を、今後も成長させるべく、日本とも協力していきたいと考えている。
韓国の文化コンテンツ産業は2005年に50兆ウォンの売上であったが、2010年には100兆ウォン市場に育て、マーケットシェアも2.2%から4%に引き上げたい。世界市場での順位も5位まで上げ、雇用も96万人を見込み、様々な事業を今後も展開していく所存である。

「日本のコンテンツ産業と国際協調」 東京大学 大学院教授 浜野保樹氏
【東京大学 大学院教授 浜野保樹氏】

◆現在の日本コンテンツ産業の特徴

今年は二十数年ぶりに国内映画産業の50%を日本映画がカバーした。戦後、日本映画はシェア拡大を続け、1962年には80%を占めるまでに至ったが、その後はハリウッド映画がずっと日本映画を凌駕し続けていた。しかし、今年は久々に日本映画が回復し、ハリウッド映画産業はベトナム戦争時代と同じような状況にある。
最近、日本のゲーム産業は縮小傾向にあったが、昨年DS LiteやWiiが売れて復活している。個人的な意見では、今後のコンテンツのプラットフォームの課題は、携帯電話との差別化しかないと考える。任天堂は携帯電話との差別化に見事に成功し、マーケットを大きくしたと思う。現在のコンテンツ産業の特徴は、携帯との差別化が鍵を握ることと、アメリカの状況がある曲がり角に来ていること、にあると感じている。

◆コンテンツ海外輸出を試みた時代

実は、1950年代に、現在と同じように日本のコンテンツを海外に積極的に出そうと試みた時期があった。そのときは日本は失敗したが、賢者は歴史に学ぶのたとえのように、何故失敗し、そこから何を学ぶべきかをお話したい。
私は徐院長と同じく、文化コンテンツは今後はアジアが大変強いと信じている。これまでのコンテンツは、ライフスタイルを伝える大きな宣伝、フラッグシップだった。19世紀はヨーロッパの特権階級向けの高級芸術、20世紀はアメリカ型のポップカルチャーや大量生産に合うマーケットとライフスタイルが席巻したが、21世紀はアジア型のスロー・ライフやLOHASの時代。コンテンツを文化として衣食住につなげていくことが重要になってくる。
戦後、アメリカのGHQは、日本の衣食住やコンテンツをアメリカ文化一色で染め、映画も統制をした。1948年までは日本映画の輸出も禁じられた。しかし、1951年9月、ベネチア国際映画祭で日本の『羅生門』がグランプリをとる。イタリアの映画会社の社長が、カンヌ映画祭に負けないような作品をベネチアに送りたいと作品を探していたところ、たまたま観た日本の『羅生門』に白羽の矢を立て、結果的に満場一致でグランプリとなった。アカデミー賞でも名誉賞を受賞し、大映の社長は海外マーケットへ日本コンテンツが売れると考えた。当時輸出できるコンテンツは映画しかなかったこともあり、当時の通産省、総理府、総理大臣まで含めて輸出映画の振興をしようと決め、その後大映作品は海外の映画賞を独占していく。

◆過去の失敗に学ぶ

1950年には映画産業振興審議会が発足する。銀行の融資も可能になり、東南アジア映画制作者連盟もできて、政府は海外へコンテンツを出すための様々な機関や白書を作っていく。しかし、ここで日本が大きく間違ったことがある。観光映画としてエキゾチズムを重視した結果、退屈な時代劇を乱造し、日本映画市場自体がダメになってしまう。また、海外配給を人任せにしたため、海外でヒットしても日本に全くお金が戻ってこなかった。名誉を重視しすぎ、欧米のひとが見てくれるだけでいい、と、金銭的なことにシビアでなかったのもまずかった。また、当時から海賊版の被害があったが対策がとれなかったこと、戦略を欧米に特化しすぎ、自国を含むアジアを軽視したことなども敗因であった。
現在、内閣府ではアジアゲートウェイ戦略会議があり、外務省でも海外交流審議会がある。経済産業省もアジアを重視している。今後は、アジアと連携しながら共にマーケットを築き、近い文化として衣食住も含めておさえていくことが大変重要である。

◆Q&A

Q. 日本と韓国が共同でコンテンツ制作を行なっていく場合、文化の共通部分を理解しあい、うまくコンテンツにしていくことが今後は必要と考える。そうすれば、日本、韓国から始まり、アジアの文化を全世界に発信していくという大きな役割を果たすこともできるのではないか。このようなアジア諸国間での共通の文化を研究、発信する仕組みについて何か展望をお持ちであれば御意見を伺いたい。

A.徐院長 日本、韓国、中国の間で互いの文化産業を理解し共同制作等を進める基盤として、4年前から、関連企業と政府が参加する「日中韓文化コンテンツ産業フォーラム」を立ち上げている。今年は日本で5回目が開催される予定。これまでの反省として具体的なアウトプットが少ないことが挙げられており、今年の日本開催で、実際の共同制作展開に焦点を当てられれば、と考える。
また、韓国でもベトナム、マレーシア、フィリピン、タイ等、東南アジア諸国との文化産業関連の意見交換も積極的に行なっている。そのあたりを基盤とし、今後拡大していきたいと考える。
   
A.浜野教授 コンテンツの共同制作をする場合、内容そのものは作家の中にあるものなので、すり合わせをしても仕方が無いと私は考える。それよりも、スタッフ同士が交流をすべきである。内容を共同で作るのでなく、制作パターンのすり合わせの共通化が重要。中国はカメラ、韓国は新しい技術、香港はワイヤーアクション、のようにそれぞれの強みを活かしてスタッフが一緒に制作できる環境をつくるための研究会や実践の仕組みが必要だと思っている。

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