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DCAJ news No.134
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「デジタルコンテンツ白書2007」発刊セミナー レポート デジタルコンテンツの収益構造
セミナー会場
「デジタルコンテンツ白書2007」発刊セミナー レポート

「デジタルコンテンツ白書2007」発刊セミナーが、DCAJセミナーとして9月5日(水)、デジタルハリウッド大学秋葉原メインキャンパスにて、約70名の参加者を得て開催された。

テーマは「コフェスタ、コンテンツ市場規模13兆9890億円、収益構造」である。

田中DCAJ常務理事の挨拶の後、白書2007の概説(DCAJ福島寿恵)では、コンテンツ全体の市場規模は13兆9890億円前年比1.1%増にとどまるが、そのうちデジタルコンテンツは2兆7699億円前年比8.3%増、内訳でいくとパッケージソフト市場が年々縮小していく一方、インターネットと携帯電話で流通するコンテンツが好調に推移していることなどが、説明された。

次に福冨忠和氏(専修大学)をモデレータに、中野晴行氏(マンガ産業アナリスト)、数土直志氏((株)アニメアニメジャパン)、津田大介氏(IT・音楽ジャーナリスト)の諸氏でパネル討論が行われた。

福冨氏は基調講演「コンテンツビジネスおよびその収益構造の現状と課題」で、次のように述べた。
コンテンツの消費形態は多様化し、インターネットと携帯の伸びは大きいもののここまで10年かかっていてペースはのろく、またすでに2002年にインターネット端末数が新聞購読者数を超えたにもかかわらず、金額ベースで9%ということから、ネットコンテンツは儲からないという認識が広がっている。
情報財の収益モデルは国領二郎氏によると、
(1)擬似的にモノとする(コピーをガードする(DRM))
(2)情報はタダとし派生するサービス、機器(アップルなどの
    プラットフォーム・ビジネス)で収益をあげる
(3)情報はタダとし広告で収益をあげる
の三つであるが、
利用環境と配信市場のギャップ、つまり、
  ・魅力的なコンテンツがない
  ・品質が悪い(例えば印刷に比べ)
  ・インタフェースが悪い
  ・若い人はあまりクレジットカードが使えない
などから日本では限界があり、海外市場展開が課題であることは事実。
ただ例えば映画をみても国内市場では、TV局の自主製作増加もあって昨年は50%超となり輸入ものを超えたが、貿易収支からすると、実写の輸出はほとんどなく、アニメも金額ではポケモン以外に見るべきものはなく、音楽ではPUFFY、マンガではオタク系くらいにすぎず、何が収支を埋めているかといえばゲームのがんばりというのが現状である。

福冨氏(右)と中野氏(左)

中野晴行氏は「電子マンガは何故伸びたのか 携帯で広がるデジタルマンガの可能性と課題」で、以下のように指摘した。
電子ブックあたりまでの展開で停滞していたところへ携帯マンガが出てきて様相は変わった。携帯は課金問題のクリアーが出来ていることが大きい。
ただ性的なものなど売れるものは限られており、売れるとわかるとその分野を食いつぶし、それがない場合は古いものを再び売るという悪循環もある。
小説のように携帯から単行本というものが出るとよい。
海外に出る場合、例えば米国ではバットマンなと売れるものでも16万部くらいで「少年ジャンプ」の国内650万部などと比べて少ないということから、進出の検討でも軽く見られがちであることが課題である。

津田氏(左)と数土氏(右)

数土直志氏は「国際展開を期待されるアニメ産業の実情」で次のように述べた。
先ず「日本アニメーション産業の海外ビジネスの概略」としては、本数ばかり増えTV番組のスポンサーもつきにくい状況、またDVD化に伴うクォリティ要求の高度化などからくるコストアップから海外で取り戻そうとしているが、海外競争力があるコンテンツは限られているということがある。
「海外市場の現状と問題点」としては、劇場で競争力があるのはポケモンくらいで、あとはDVD、ライセンス・キャラクター事業であるが、現地法人任せでは収益が上がらないことが判明しており、直接進出の増加が課題である。
一方、韓国は大人向けは日本に勝てなかったことから、アニメが本来スタートした子供の分野に注力、しかも3Dで進めているが、これは考えなければいけないことである。
もっとも以下のようにポジティブな動きもある。
  ・ソニーが展開する衛星放送アニメ専門チャンネルANIMAXの海外展開
  ・北米におけるポケモン人気の復活とそのキャラクタービジネスへの直接進出
  ・アニメコンベンションの成長
  ・日本アニメの一般化、露出の増大
「今後の方向性」としてまとめると、
  ・自分で現地進出する必要性(利益、ブランド・マネジメント)
  ・共同製作の推進(流通を確保している人たちと)
  ・海賊版対策
  ・マネジメント人材の必要性(言語、ファイナンス、特に法務)
となる。

津田大介氏は「音楽コンテンツのビジネスモデル置換はどこまで進むのか」で、不況と見られがちな音楽業界を異なる角度から以下のように分析してみせた。音楽産業は以前レコードそしてCDのパッケージ販売+ライブという図式であったが、着うたなどの出現もあり、今後ゆるやかに複合していくことになるだろう。
CDは98年が売り上げ6000億円でその後3500億円まで下がってきたが、この傾向は日本だけではない。
一方JASRACによる使用料徴収額の推移を見ると減少傾向にはなく、現状は「音楽CD不況」ではあっても「音楽不況」ではない。事実、インターネット、携帯はもとより、ライブおよびそのDVDは非常に伸びており、特に夏などには町おこし的なものも多い。
CDが売れなくなった理由は、音楽が娯楽の神様だった時代は終わり、娯楽コンテンツや音楽コンテンツが多様化したことである。
とはいえ、音楽は永続的に繰り返し楽しまれるという性格があることから、CDも3000億円あたりで下げ止まると見られ、またDRM(Digital Rights Management コピーガードなど)に対する見方もこの見地から変わってくることも考えられる。
ネット社会の宣伝流通環境もあって、インディーズは2万枚くらいが損益分岐点になっているが、従来のメジャーレーベルではそうはいかない。考え方も変わってくるだろう。

諸氏によるこれらのプレゼンテーションを受け、共通の課題として再度議論されたのは、意外というべきか当然というべきか「クリエイティヴィティ(Creativity)の危機」であった。すなわち、
(1)マンガでは雑誌が売れなくなってきて売れ筋に集中した結果同じようなもの
    ばかりになり、当たらないとかつてヒットしたものを採録する。
    原点である子供マーケットがないがしろにされている。
(2)音楽ではコンピレーション(ベスト版など)、カバー(歌手が自分のオリジナルで
    ないものでアルバムを作る)が売れており、レコード会社で確実に利益を
    上げているのは新聞などに大きな広告を出している各種名曲集ボックスもの
    である。一方ビジュアル系J-POPバンドが欧米で日本語歌詞のまま売れ始めて
    いたり、アニメ主題歌が現地差し替えから日本の原曲になってきたりしており、
    YouTubeの影響もあって日本発コンテンツの浸透傾向も見られるため、
    今後期待も出来る。こういう結びつきを作る段階は大事にしないといけない。

また「アジア」という切り口では、音楽は欧米コンプレックスから先ずそこに進出したいというマインドがあるがアジアの方がうけいれられやすく、アニメもマーケット規模で北米に目を向けがち、マンガもアジアで熱心でないのは印税が安いから、という指摘があった。
多くはあまりにもビジネス面からの一次的切り口に止まっていることが問題のようである。

以上、最後は創造、創作という原点に立ち戻る話になったが、これも無理してとってつけた結論ではなく、白書の分析とこのセミナーの議論の末のことであり、意味あるものとして記憶に残るものであった。

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