2007年12月2日〜8日、米国ワシントン、ニューヨークに赴き、Copyright Office(著作権局)、Columbia UniversityのCNMTL(Columbia Center for new Media Teaching and Learning)等を訪問し、著作権を取り巻く米国の最新動向を調査した。
今回は、Copyright Officeでβテスト段階にあるオンライン登録システムについて速報する。
Copyright Office − 米国著作権登録制度とCopyright Officeについて −
Copyright Officeは、連邦政府立法府の議会支援機関の一つである議会図書館に所属する1部門である。年間50〜60万件の著作権登録を行っている。米国市民が著作権侵害を受けて提訴する場合、Copyright Officeに著作権登録していることが前提となっている。登録を済ませた著作物については著作権の有効性が推定されるほか、法廷賠償や弁護士費用の請求が可能になるなど、法的インセンティブが付与されている。
このように無方式主義の中でも独特なシステムが米国の著作権登録制度であり、Copyright Officeである。

- Copyright Office概観
βテストの概要については以降を読んでいただくとして、心に残ったポイント、雑感を一つ記載しておく。
「米国の著作権法は何をやるかを定めているが、どのようにやるかについては定めていない。従って、現在実施しているオンライン登録はあくまで処理過程の変更であり、登録内容に変更はなく、法的な変更もない。」というお話であった。
これまで米国の著作権制度は世界でも特殊なものとして感じられていたが、デジタル時代になった現在、この特殊さ(人格権の弱さ、フェアユース、今回の調査対象である登録制度)が時代にマッチしたものとして映るのは私だけであろうか。
オンライン登録システム − βテストの状況について −
1.テスト期間
2007年6月1日にテストを告知し、参加者の募集を開始、7月2日からテストを開始した。十分な登録サンプル、フィードバックが得られたと登録書記官が判断した時点で終了となる。現在のところ、終了時期は未定とのことであったが、2008年1月頃になるのではないかと思われる。
2.テスト状況
多くの参加希望者が開始当初から集まり、一時は参加申込みを打ち切るほどだった。
11月末までに6500人が参加し、6000件の登録が申請された。11月最終週からは、大口登録企業を参加させ始めたこともあり、12月末までに10000件の登録申請が見込まれている。11月最終週のオンライン登録申請が800件、従来の書類による登録申請を含めた全件数が1100件だったことを考えると、オンライン登録は全体の10%近くを占めていたことになる。
但し、出版等で公表済みの作品を登録する場合は、オンラインで登録申請しても納付物はハードコピーで別途郵送することになっている。これは、公表済みの作品は米国の財産として「最高品質」での納付を義務付けられているからである。
なお、登録申請の処理がどこまで進んでいるかはWebサイトで確認できるようになっており、これは従来の書類による申請時には行えなかったサービスである。
3.登録費用と運用費
基本的な登録費用は35ドルである。なお、書類での申請では45ドルとなっている。
運用費の全てを登録費用でカバーしているわけではなく、税金を使用している。但し、納付物として収集した書籍や映画、CD等の著作物の価値を計算に入れれば、これだけの費用をかけて登録している意義はあると考えている。これら収集した著作物を議会図書館が購入しなければならないとすれば、そのために税金が費やされることになるが、その分をCopyright Officeが担っているとも考えられる。
4.今後の予定、課題
現在、オンライン登録で可能なのは、基本的な登録だけである。今後その他の複雑な登録についても徐々にオンラインでの登録を可能にし、書類での登録と同様なことがオンラインでもできるようにしていく予定であるとのこと。
その他システム面の課題としては、Macintoshへの対応等がある。