12月3日から9日にかけ、米国ロサンゼルス・サンフランシスコに出張し、MySpace社、Linden Lab社(SecondLife運営者)、Creative Commonsサンフランシスコオフィス、VIZ Media社等に対する訪問調査を実施した。ここ数年で勃興したSNS(Social Networking Service)やUGM(User Generated Media)と呼ばれるコンテンツ流通プラットフォームサービスの現状、こうしたサービスの基盤となり得るCreative Commonsの活動、及び、我が国コンテンツ産業の受け止め方等についての調査結果を、以下に摘記速報する。
- 1.MySpace社
音楽コンテンツの流通プラットフォームとして、プロ・アマを問わず利用されている人気のSNSである。プロにとっては自分の作品を試聴に供したり広告宣伝する場、アマには自己表現の場(時にメジャーデビューの登竜門)となっている。
電子指紋技術を利用してフィルタリングすることで他人の著作権を侵害する楽曲がアップロードされることを技術的に防いでいるほか、人の目・耳でチェックしている。
違法性を可能な限り排除する努力をしており、ユーザにとって安心・安全なプラットフォームサービス運営を目指しているとの印象を受けた。
- 2.SecondLife(Linden Lab社)
多人数参加型Virtual Worldサービスとして現時点において世界最大のユーザ数を擁する。最初の投資家はミッチ・ケイパー氏(「1−2−3」で有名なロータス創始者)である。今後の使われ方として、遠隔ミーティングを推奨していた。これまでの電話会議は特殊な設備・機器を必要とするが、SecondLifeで行う場合ヘッドホンだけあればよい。
収益性や合法性には若干疑問符はつくものの、冒険的なプラットフォームであり、今後もVirtual Worldサービスを牽引していくものと思われる。
- 3.Creative Commons(CC)
著作権がコンテンツ流通の阻害要因になっている側面があることはしばしば言われることであるが、制度改正には困難を要することが予想される。しかも国際調和をもってとなるとなおさらである。このため、これを民間ルール(ライセンス)で乗り越えようとする構想がCCである。現在、我が国を含め世界35ヶ国に支部が設けられている。
SNSやUGMは一般に、ユーザによる自由なコンテンツ送受信をうたい文句としており、こうしたサービスの成長にはCCの活用が有効であると認識した。
- 4.VIZ Media
小学館資本(後に集英社も資本参加)で設立された北米地域を対象とする日本マンガ出版社である。アニメ放送番組の販売や配信、DVD販売も行っている。配信事業は有料と無料とがある。これまでは日本マンガ・アニメのファン市場(所謂オタク市場)が中心であったが、現在はマスマーケットの獲得を目指している。YouTubeをみて日本のマンガやアニメのファンになることも考えられ得るので、マスマーケット開拓という点ではSNSやUGMにメリットがないとも限らない。
SNSやUGMサイトに投稿されたマンガやアニメについて、作家の意に添わない改変をされるなど断固として削除を要求すべき場面と、経済的被害よりも宣伝効果がまさると推測しこれをあえて放置した方がよい場面とが考えられる。日本コンテンツの海外展開促進という観点に立った場合、今後はSNSやUGMサイトを戦略的に活用する必要に迫られるものと思われる。

- Linden Lab会議室にて:左から鈴木利夫(DCAJ)、Chris Collins(Linden Labビジネスアナリスト)、国領二郎(慶応義塾大学教授)、井上明人(国際大学グローバル・コミュニケーション・センター研究員)、山本純(DCAJ)