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DCAJ news No.138
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日本製コンテンツの海外販路の拡大を目指して
〜東南アジアとの連携によるコンテンツビジネスの可能性を考える〜
セミナーレポート
「日本製コンテンツの海外販路の拡大を目指して〜東南アジアとの連携によるコンテンツビジネスの可能性を考える〜」

 

2007年12月のシンガポール、マレーシア、タイのコンテンツ制作企業や政府関連機関を訪問し、当地におけるコンテンツ産業の現状を日本のコンテンツ業界に伝えると共に、日本製コンテンツの海外販路の拡大を目指した東南アジアとのコンテンツビジネスの可能性を検討するために、3月4日(火)ホテルモントレ半蔵門「瑠璃」の間にて標記セミナーを実施した。
(財)デジタルコンテンツ協会 専務理事 鷲見の挨拶に始まり、立命館大学 映像学部 准教授 中村彰憲氏から東南アジア全体のコンテンツ産業の現況が伝えられ、続いてマレーシアのMDeC(Multimedia Development Corporation)Vice President Kamil Othman氏からマレーシアのコンテンツ産業の状況が伝えられた。

MDeC(Multimedia Development Corporation)
ヴァイスプレジデント Kamil Othman氏

MDeC(Multimedia Development Corporation)Vice President Kamil Othman氏:
『マレーシアではコンテンツ産業を推進する「MSCプロジェクト」が進められている。現在、MSCにコンテンツ関連企業が50社以上申請しており、それらの企業に対してマレーシア政府は様々な保障をする。具体的な保障内容は「雇用時に、国籍を問わない、例えば日本企業であれば職員は100%日本人でよい」「オーナーシップの自由、外資の100%所有可。合弁企業可。株式を配分」「10年間の税制控除」「投資の税控除」等々があり、起業時には補助金やオフィス開設の準備等、ビジネス環境を整えるための様々な支援を行っている。
マレーシアは海賊版の占有率は未だに高いが、国としては、ローカルコンテンツ制作のための人材育成、スキル開発と同じくらい知財権の保護も重要と考えている。現状としては、法律はあるがあまり施行されておらず、国民の認識も高くない。しかし、徐々にマレーシアオリジナルのコンテンツが作られ、リリースされてきており、それらの海賊版が出回るとなれば制作者だけではなく国民にとっても大問題である。知的財産保護のための資金の調達、ファンディング等国と省に五つ基金があり、海賊版を減らし、知的財産を守るため努力していく。』
 
その後、キューエンターテインメント(株) 代表取締役CEO 内海州人氏、(株)プレミアムエージェンシー 代表取締役社長 山路和紀氏、(株)ナウプロダクション 企画室 室長 大信英次氏、(株)デジタル・メディア・ラボ 関西支社 ディレクター 高橋伸禎氏から、シンガポール、マレーシア、タイのコンテンツ制作環境や技術レベル、ビジネス展開等々の報告と共にそれぞれの立場による所感が述べられた。

シンガポール

シンガポールには、日本のコンテンツ企業と付き合いのある欧米企業のヘッドクオーターがあるケースが多い。
ハブとしてのインフラが整っており、欧米から請けたビジネスをシンガポールから周辺の東南アジア諸国に向けて発信するというアジアの中心的なポジションを取ろうとしている。また、欧米もアジア拠点としてシンガポールにスタジオを構え、アジアマーケットを意識したコンテンツ制作を独自にコントロールしている。
訪問先の1つであるEGGSTORYというCGスタジオでは元ハリウッドで勤務していたクリエイターが先頭に立ってコンテンツ制作をしており、欧米の企業とも大きな契約をまとめた話を聞いたが、実質的な企業経営者が不在でクリエイティブな部分だけを進めても、会計も含めたファイナンシングの部分は国の補助や投資に頼っており、現実のビジネスとしては欠けている部分があると感じた。
今後はどのようにそれを発展させ、本当のビジネスに繋げるか、という事を期待しながら見ていきたい。

タイ

タイは技術レベルを比較するとマレーシアやシンガポールに劣るところはないが、コミュニケーション面、特に英語で今後ハンディキャップを背負うだろう。
制作環境においても一部優良企業があるが、全般的には「まだまだこれから」と感じる。ただ、独自の伝統文化を持っており、日本人の発想にはないユニークなコンテンツの誕生が期待できる。
訪問したImagemax(http://www.imagimax.com/)は日本のディベロッパーとのビジネス経験があり、デザイン、プログラミング等、グラフィックベースのプレゼンが非常にわかりやすい。

マレーシア

知的レベル、コミュニケーション能力が非常に高く、政府の立位置も現実的であり、良い意味で全てのことに驚かされる。外貨を稼ぐことについては非常に意識を強く持っているのと同時に自国のクリエイターの育成や、クリエイティブな部分のレベルを高める事にも大変意欲的である。
中東からの投資を受け、MDeC主導の下(現場の監督はオーストラリア人、スタッフもマレーシア人、中国人他、色々な人種が混じり、ハイブリッドなチーム体制が布かれ)、「Saladin」という3DCGアニメーションを制作している。

全体の印象

デジタルコンテンツのプラットフォームはアジア全域に広がっている。各国ともハイエンドの3Dでは「Maya」の普及率が高い。アジアマーケットを日本製のコンテンツで攻めるというよりは、お互いにアジア製コンテンツでメリットを享受できるような関係性を構築することが、将来のアジアコンテンツマーケット、コンテンツ産業の更なる発展につながると思われる。日本は独自のマーケットが十分大きく、自分たちの技術に自信があるため、海外展開の必要性をさほど感じていないと思われ、言葉の面においては英語、グローバル化へのモチベーションが低く、今回の訪問で他国の状況を目の当たりにし、危機感を覚えた。日本市場は、将来、人口減少も含めてドメスティックなマーケットになればコンテンツ産業は間違いなく弱体化していくと思われる。アジア市場は中国、インドを筆頭にしてタイ、ベトナム、フィリピン、インドネシアも含め、人口も市場も非常に拡大をしていくだろう。

各講演後、MDeC Adam Ham氏を交え、パネルディスカッションが行われ、経済産業省 文化情報産業関連課 高尾課長補佐の挨拶により閉会した。

パネルディスカッション(左からAdamHam氏、内海氏、山路氏、大信氏、高橋氏)

東南アジアの人口経済力、国家の成熟度は勢いを保ちながら伸び続けると考えられる。日本のコンテンツ企業の海外展開に対しては賛否両論あるが、遠くない将来に、インドを含め東南アジアを市場として狙うか彼らと連携してアジア全体のみならず欧米市場を意識した作品づくりに取り組むか、或いはこのまま縮小が懸念される日本国内市場のみを対象としたビジネスを続けるか、選択を迫られる日がくるだろう。

 
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