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DCAJ news No.138
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「DCAJ セミナー」レポート
GDC08報告会 in 関西
3月度セミナー 「GDC08報告会 in 関西」ニュース記事

 

財団法人デジタルコンテンツ協会では、3月22日(土)にDCAJ3月度セミナー「GDC08報告会 in 関西」を京都市の「立命館大学 充光館301」にて開催した。
IGDA日本代表 新清士氏、株式会社ナウプロダクション企画室室長 大信英次氏、東京大学大学院教授 馬場章氏、株式会社フロム・ソフトウェア技術部プログラマー 三宅陽一郎氏よりご講演いただき、その後馬場章氏をモデレーターとしたパネルディスカッションを実施した。

1.GDC08にみるゲーム産業の最新トレンド

IGDA日本代表 新清士氏は、GDC08にみるゲーム産業の最新トレンドと題し、主に以下のような内容について講演を行った。

GDCは参加者数が18,000名以上と過去最多の参加者で、日本からの参加者も最多であった。E3が縮小したことでビジネス機能が移行したことが、その要因として考えられる。
GDCではソーシャルゲーミングの大流行とポストセカンドライフが目に付いた。ソーシャルゲーミングとしては、FaceBookが特に人気で、米国では携帯電話ゲームが儲かっていないため、PC主体となっている。ポストセカンドライフとしては、ライセンスコストが非常に安いWWWプラットフォームであるマルチバースや、ソーシャルゲーミングと仮想世界を混ぜたものであるメタプレースが人気で、誰もがUGCを意識している。
ベンチャー企業の台頭も目立ち、特にインディペンデントゲームアワードは、受賞作が製品化されるなど、その大きな役割を果たしている。
大手スタジオは、開発手法が確立されており、またクロスプラットフォームを前提とした開発を行っており、Xbox360とPS3を合計して市場と考えている。そのため20億円以上の大型プロジェクトがまだまだ続く。反面ハードの寿命が長くなることが予想される。

2.ビジネスチャンスをつかむ場としてのGDC

株式会社ナウプロダクション企画室室長 大信英次氏は、ビジネスチャンスをつかむ場としてのGDCと題し、主に以下のような内容について講演を行った。

GDCは世界規模でのインタラクティブ・ソフトウェア・ビジネス交流の場である。例えばGame Connectionではディベロッパー、サービス・プロバイダーがブースを構え、パブリッシャー、もしくはディベロッパーがブースを訪問して新規ゲーム企画提案、サービス販売提案を受けるB to B ミーティングが行われている。今回のGame Connectionでは、2月19〜21日の3日間、ディベロッパー、サービス・プロバイダー158社が展示を行い、パブリッシャー120社が参加、総勢600名が参加し、4200回の商談が行われた。
1日9:00〜18:00の間で15コマの商談コマ数があるが、実際はランチ中も商談を行うくらい商談数が多い。ナウプロダクションでは、3日間のGame Connection内でパブリッシャー16社、ディベロッパー20社の36社と商談を行い、GDC会場外においても政府機関を含む22社との商談を行った。5日間で58社と商談を行ったことになる。ゲーム企画を提案する商談にあたっては、ゲーム企画書だけでは契約は難しく、提案にはプロトタイプやゲームプレイが理解出来る映像を持参したほうが良い。
日本のパブリッシャーやディベロッパーからGDCを見ると、世界各地の開発、販売市場情報の取得が非常に短期間で効率良く出来、アップデイトした情報下において各市場に対するマーケティング戦略、ゲーム企画提案戦略構築の大きなサポートになる。また世界全体を市場とすることで顧客数、商圏を広げることが可能である。世界市場と世界のパブリッシャーを顧客と捉えることで、日本市場だけでの展開を考えるより、遥かに多くのゲーム企画提案案件が可能になる。理由は趣味嗜好、ゲームジャンル、特にプラットフォームの選択肢が広がることが理由である。実際ナウプロダクションでは2年間のGDC参加により複数の欧米パブリッシャーと契約を実現している。また海外へアウトソーシングを進行することは、海外サービス・プロバイダーと取り組むことにより、英語で単一言語でのプロダクション・パイプラインが実現出来、かつ単一言語の効率的な開発が可能になる。また海外企業と取引することで仕様書、指示書に関しても世界基準のドキュメンテーションが必須であり、ドキュメントベースにて業務を進行せざる得なくなり、日本企業が苦手とし、また非効率の温床となっている書面無しの開発からの脱却せざる得ないなど、効率の良い開発が可能となるなどのメリットもある。結果として欧米パブリッシャーが提出を必須としているゲーム・デザイン・ドキュメント(GDD)、テクニカル・デザイン・ドキュメント(TDD)の作成にもつながり、トータルとしても欧米スタンダードに対応した、非常に効率が良い開発体制を構築するベースとなる。
GDCは日本ゲーム・ディベロッパーにとっては非常にすぐればB to Bの商談場所であり、世界市場のマーケティングを可能とする場所であり、今後必要とされる海外でのビジネスチャンスをつかむ事が出来る場である。

3.GDC08に見るゲーム研究の現状と展望

東京大学大学院教授 馬場章氏は、GDC08に見るゲーム研究の現状と展望と題し、主に以下のような内容について講演を行った。

GDCの役割は、従来はゲーム開発の最新動向を得ることや、ゲーム開発者のコミュニティの場であったが、近年はB2Bの役割も多くなった。また展示やリクルートの役割も増えている。
アカデミアの立場から見ると、GDCには最新情報の収集、研究者同士あるいは研究者と開発者のネットワークの形成、研究成果発表、学生の教育としての場の役割がある。
Serious Game Summitでは、42名19本の発表があった。特に話題となったのは、「シリアスゲームとは何か?」という根本の議論であった。
GDCの他、南カリフォルニア大学(USC)の産学連携の調査も実施した。USCに対してゲーム会社は、教育研究資金提供、研究施設・機材提供、データ提供、教員派遣、ゲームの共同開発、カリキュラム開発などを行っている。
日本のゲーム研究の課題としては、研究者コミュニティの確立、研究者ネットワークの形成、ゲーム研究・教育の理念の再考と形態の構築、研究と教育レベルの向上などが考えられる。

4.GDC2008に見るAI、プロシージャル、製作パイプライン技術の発展

株式会社フロム・ソフトウェア技術部プログラマー 三宅陽一郎氏は、GDC2008に見るAI、プロシージャル、製作パイプライン技術の発展と題し、主に以下のような内容について講演を行った。

プロシージャルとは、計算による・連続した操作によるという意味である。手続き型自動生成技術と訳される場合が多い。プロシージャル技術としてGDC2008 では、「Spore」のプロシージャル・ミュージックが公開された。PureDataという音楽プログラミング環境をEAがカスタマイズしたEAPdにより、ユーザーとインタラクションしながらその場で音楽が生成される。そして、理想的には、その音楽は決してくり返されることがない無限のパターンを作り出す。また「Far Cry 2」の、データの自動生成技術が紹介された。「Far Cry 2」で利用されたプロシージャル技術はこれまでアーティストがツールを通して製作していたコンテンツをある程度自動生成することで製作過程とコストを削減することを可能にし、これからのゲーム開発の必須技術となる可能性がある。また製作パイプラインの形を基本から変える可能性を持つ。中小ゲーム企業にとっては、巨大なコンテンツを自動生成するという機能において(例えばIntroversion Softwareの『Darwinia』)、巨大な企業においてはコスト削減において(実際は増大するコンテンツ製作の一端を自動生成するため総コストを大きく削減するまで至らないケースが多いが、同じコストでもコンテンツを巨大化できる)、そして、ゲーム業界全体においては、柔軟で動的なコンテンツ生成において新しいゲームデザインの開拓のために注目するべき技術である。
AI技術としてGDC2008では、「Assassin’s Creed」における群集制御や「Halo3」における戦場を形成する方法が紹介された。「Assassin’s Creed」は、街全体を群衆を含めてゲーム空間の中に再現するゲームであり、特にキャラクターのバリエーション、アニメーション、パス検索、発生の技術を駆使して、リアルな群衆を再現することに成功した。ポストモーテム(反省)としては、そういった群集をゲーム性に強く絡めることが出来なかったことがある。「Halo3」では、より良い戦場を構築するために、全体の戦況を見通して、戦場の各スカッド(チーム)に適切なタスクを割り振るAIシステムが導入された。Halo2、Halo3は同一のAI設計者(Damian Isla)が設計したものであり、そこには「タスク、ステート自身が自分を評価する」という共通の設計思想が見られる。ゲームAIでは基礎的な知識と技術が十分にあれば設計者の作家性さえ表現され得る可能性を、HaloのAIは見せてくれるのだ。
また日米のゲーム業界の大きな違いとして、ナレッジマネージメントに対する姿勢がある。ナレッジマネージメントに大切なのは、全体を通して自己に還元される知識はオープンにし、保持することで競争力となり利益に貢献する知識はクローズドにしておくことである。日本でもオープンに出来る技術はオープンにすることでゲーム業界全体としての技術力を上げることが可能になるが、現在では海外でオープンにされた知識を各企業が学ぶことで底上げしているのが現状であり、日本のゲーム産業自身による情報環境の変革が必要である。

5.パネルディスカッション

各講師からの講演後、東京大学大学院教授 馬場章氏をモデレーターにパネルディスカッションを実施した。

(新氏)IGDAについて追加で説明したい。IGDAとは国際ゲーム開発者協会、全世界に35程度の支部がある。GDC期間中に総会があるが、全世界で会員数が16000を超えた。年間50ドル支払うと会員になれる。ゲーム開発者のコミュニティの構築と情報の発信が大きなミッションである。IGDA日本は2002年の4月に立ち上がった。日本では任意団体でボランティアで構成されている。
(馬場氏)日本以外で活発に活動している地域は?日本の位置付けは?
(新氏)日本は世界的に見ても活発に活動している。事務局のあるモントリオール支部、米国も大手ゲーム会社のある地域、その他イギリスやドイツなども活発である。東南アジア圏では、昨年シンガポールでゲームの展示会が開催されたが、フィリピン、シンガポール、マレーシアの各支部が協力した。
今後は、CEDECの情報をどう発信するかが課題であるが、言葉の壁が課題。
(馬場氏)GDC最中の言葉の壁は?
(新氏)日本からの参加者が増えており、日本語の同時セッションも増えている。後半3日間で言うと、日本語だけのセッションを聞き続けることが可能であった。

(三宅氏)技術者は新しいことに挑戦したいという意欲が強い。そのためには技術を学ぶ場所、共有する場所、発表する場所が必要である。GDCではここまでしゃべってくれるのかというくらい技術を公開してくれる。日本では情報公開があまりされない。技術を秘匿すべき産業もあるが、ゲーム業界の場合は、技術が全てではなく、結局開発者が技術を通してコンテンツを作る産業であり、開発者が創造性を発揮する環境を準備することが第一である。ゲーム業界全体で可能な限り技術を共有し、ゲームアイデアで勝負する環境を構築することが、国際的な競争力を獲得するためには必要である。欧米では既にそうした流れがあり、このままでは日本では国内でゲーム企業が「にらめっこ」をしているうちに欧米に追い越されてしまうだろう。
かといって、日本のゲームAI技術が単に欧米の後追いでよいというわけではない。ゲームAIは、ゲームコンテンツの上に成り立つために、その文化的土壌の影響で力点が置かれる場所が違う。欧米のゲームAIは、FPSを通して進化したという系譜を持つ。こういった一方向の進化はいずれ壁に当たることになるだろう。大切なのは、東洋と西洋がお互いのゲームコンテンツの特性の上にゲームAI技術を展開し、お互いの現状を伝え合い刺激し合うことで、新しいものを生み出して行く環境を築くことだ。現在のままでは、その片翼たる日本のゲームAIがあまりにも曖昧で欧米に対等に対峙することが出来ない。日本に学ぶべき技術がないのではない。我々は、我々自身の評価軸を持って日本のゲームAI技術を編纂し評価し、「これが日本のゲームAIです」と言ったものを世界、特に西側に向けて発信しなければならない。そうして、お互いの文化と技術を衝突させることで、世界的なレベルにおいてゲームAI技術が前進することになる。
(会場より)では、日本がこれまでに欧米に対峙する、或いはリードするような技術をゲーム産業が持ったことがあっただろうか?
(三宅氏)この問いはとても重要な問いで「ある」、「ない」と言えば、「ある」だろうが、日本はそういった萌芽があっても、きちんとそれを積み重ねて発展させて行く土壌がなく、ワンアイデアで終わってしまう。また、きちんと表現しないために、受け継がれることなく、企業内で終わってしまうことになる。そういった意味でも、情報公開と技術蓄積を行う態度が必要である。その根底には、開発した技術は一つのタイトルのためであるという意識が強かったことが一因として考えられる。これからはゲーム業界全体で「一つ一つの技術を共有し大きく育てて再び公開する」というサイクルを作ることが課題となる。「方法を蓄積し、発展させて行く」という姿勢の有無は、今後大きな違いとなって現れるはずだ。
(馬場氏)オープンな米国とそうではない日本は企業風土の違いか?
(三宅氏)情報のマネージメントが分からないため隠している部分も多いと思う。
(馬場氏)書かれた情報と、生の情報に違いはあるか?
(三宅氏)違いはある。例えばその技術が如何なる意図の基に開発されどのようされたか、その技術に込められた意味などを、自分が知りたいポイントを踏まえて直接聞き、質問することが出来る。

(大信氏)GDCは商談時間は30分ない。初めての会社が相手だと、自己紹介でほぼ終わってしまう。そのため実際には、企業を訪問しての個別の商談で決まることが多い。しかしながらGDCでは短時間で効率的に商談が出来るため、今後も出展したい。
当社は、海外進出して2年程度であるが、もっと日本の企業にも海外進出してもらいたい。そうした企業と情報交換やアライアンスを組むことでGDCをもっと有効に利用したい。
(馬場氏)どのようにアライアンスを組むかについて、JETROなどの役割が大きくなると思う。JETROに対する要望はあるか?
(大信氏)小さなステップではあるが確実に良い方向に動いている。ただし他国と比較するとまだまだ規模的な面では追いついていない。もう少し国全体でサポートして欲しい。

 
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