

・中国セミナー~中国におけるコンテンツビジネスを考える~
・東南アジアセミナー ~タイにおけるゲーム産業の現状と海外連携~
経済産業省受託事業 専門家交流セミナーが3月10日(火)、3月17日(火)の2週にわたり、千代田区一番町ホテルモントレ半蔵門にて開催された。
【プログラム】
・挨拶 経済産業省 商務情報政策局 文化情報関連産業課 課長補佐 高尾 啓士 氏
・挨拶 (財)デジタルコンテンツ協会 専務理事 鷲見 良彦
・経済産業省 商務情報政策局 文化情報関連産業課 高尾課長補佐 挨拶
高尾氏より「知財保護に係るミッションを中国に派遣し始めた2002年当時と比較し、中国の自国の知財保護への取組みは大きく変化した。日本からの改善要請に対しても真摯に対応してくれることが増えている一方で、輸入コンテンツに対する規制、審査が非常に複雑であり、また中国企業との交流の場や、ビジネスの機会が作れない等、未だ中国とのコンテンツビジネスは難しい。本事業を企業交流の機会とし、アジア事業展開のために利用して欲しい。」との挨拶があった。
講師 立命館大学 映像学部准教授 中村 彰憲氏
中村氏は中国におけるアニメーション産業の現状を『生産力』、『制作システム』、『オリジナルコンテンツの制作力』という視点から解説し、『ブリッジパーソン』をキーワードに日本と中国のコンテンツ制作におけるコラボレーションの可能性を示した。
中国はテレビアニメを放送する上で、対象コンテンツを審査すると同時に、アニメーション生産量の統計を取っている。
2005年に4万分程度だった生産量が2008年には13万分を突破、過去4年間の生産力は右肩上がりであり、制作システムも確立しているが、クロスメディア展開やキャラクターマーチャンダイズ等、戦略的な考え方を持ったアニメプロジェクト事例は少ない。また中村氏は、中国で制作されるアニメーション作品の多くが中国の古典であることを踏まえ、オリジナルコンテンツの制作力の弱さを指摘する一方、中国ならではのキャラクターや中国に根差した武侠物のコンテンツ制作で日中連携の可能性があることを示した。更に日中のコンテンツビジネスの連携における最重要課題として、中国の文化及び政治的背景への理解、中国のコンテンツ市場動向を把握した上で、日中の共存共栄を考え、その時々に応じたパートナー選定等が出来る“ブリッジパーソン”の育成を挙げた。
講師 森・濱田松本法律事務所 弁護士 遠藤 誠氏
遠藤氏は法務的見地から「中国におけるコンテンツビジネスに対する法規制リスク」、「知的財産権侵害・海賊版問題リスク」、「商標の冒認出願(抜け駆け登録)問題リスク」とその回避方法について解説した。
中国では日本企業のような外国企業が直接に中国市場でビジネス活動を行うことは基本的に不可能であり、中国国内での会社設立および実際のビジネスにおいては政府の認可が必要である。いずれの場合でも相当の法規制を受けるが、日本も含め外国企業が中国企業に対し、物の輸出、或いは著作物のライセンスは可能である。また、インターネット上のコンテンツサービスを行う場合、幾つかの許可証が必要である上、最終的には中国当局の担当者の判断に依るため、日本企業が単独で中国においてインターネットコンテンツサービス業を行うことは困難であり、現状は信頼できる中国企業と共にビジネススキームを動かすしかない。合法的にビジネスを行う方法として、ライセンス契約に基づくロイヤリティで収益を上げる方法と以下の事例を挙げた。
[事例]
続いて、中国で実際に販売されていた日本製アニメーションやドラマ等の海賊版DVDを示しながら、海賊版問題に対する「行政的手段」、「民事的手段」、「刑事的手段」について解説した。“中国が2001年にWTOに加盟したことから整備されたと見なされている”知的財産法については、条文が相対的に少なく、解釈上不明確な点が多々残されていると指摘し、最後に、近年最も大きく、深刻な問題となっている商標の冒認出願(抜け駆け登録)問題について、多くの事例や判例を挙げ、商標登録の重要性を訴えた。
当初、登壇予定であったマッドハウス和泉氏に代わり、和泉氏と共にマッドハウスの中国展開事業を手掛ける陶氏が登壇し、活発な意見交換が行われた。
中村氏がモデレーターを務め、遠藤氏は先の講演に法的な見地から中国とのコンテンツビジネスにおいて追加説明し、真壁氏、茶谷氏は今年1月に北京企業訪問時に得た情報、感想と共に漫画家として今の中国アニメーションのレベルを評価、陶氏は中国政府、共産党が多元化文化の尊重と調和社会の構築を強調しているとした上で中国政府の海外コンテンツ規制の理由とコンテンツ産業への今後の取り組みについて述べ、中国との文化交流、コンテンツビジネスにおいて、輸出入のバラ ンスを取ることの必要性を説いた。

中国とのコンテンツビジネスは法律や規制、知的財産権に対する意識の違いなど、法的、政治的、文化的な面から見て、依然として課題は多い。しかし、そうした状況下、中国政府の対応や産業インフラは徐々に変化しつつあり、新たなビジネススキームも生まれている。中国の市場としての可能性、潜在性は確実に存在し、将来的にそれらは更に高まると思われる。
【プログラム】
・挨拶 (財)デジタルコンテンツ協会 専務理事 鷲見 良彦
・挨拶 (財)デジタルコンテンツ協会 国際室 室長 浪越徳子
Pichalai氏は、タイ国政府はマーケットチャンスと産業の育成の両方の観点からコンテンツ産業の可能性に着目し、政府の様々な機関を通じて同産業へのサポートについてPRすると共に、タイのゲーム、アニメ等のプロモーションDVDを上映した。
SIPA(ソフトウェア産業振興庁)デジタルコンテンツ委員会委員であり、タイのソフト産業振興を促進するThongsrinoon氏は「2年前までタイのゲーム産業について正式な調査が行われていなかったため、情報量や正式な数字は無いが本セミナーで可能な限り情報提供する。」と冒頭に述べ、タイのコンテンツ産業の現状について解説し、それについての理解を求めた。
タイのコンテンツ市場は、アニメーション産業が14億バーツ(18%)、ビジュアルFX産業が13億バーツ(17%)、ゲーム産業が50億バーツ(65%)であり、ゲーム産業のうち40%はゲームセンター用のゲームが占めている。その他、PC用、グレーマーケットまたはオンラインの市場があり、海外輸出用にはオリジナルのIP、あるいはアウトソースがある。ゲームセンター用のゲーム市場は、現在2社の寡占状態になっており、新規参入が難しく、ゲームセンターを統括する規制も現状に合っていない。そのため、グレーエリアが出てくる。競合相手も非常に多く存在するが、日本が最も大きな貿易相手となっている。グレーマーケットとはハードウェアを海外から輸入し、公式な小売店やエージェントを通さずに売買する市場を指し、グレーマーケットで売られている殆どのハードウェアは、Xboxを除き日本からのものである。海賊版については、2、3の大手代理店が仕切り、ソフトウェア、コンソールゲームソフト等の8~9割は海賊版である。正規版を販売する店舗は減少している。
オンラインゲーム市場のポテンシャルは最も高く、市場規模は年間約25億バーツ。主な取引先は韓国である。インターネットカフェのユーザーも含む、インターネットユーザーは1,500万人。輸出の市場については、タイのスタジオが開発したオリジナルゲームで昨年8,000万バーツ程度の売上があり、主な取引先は欧米である。また、タイのゲームスタジオは海外のアウトソース先になっており、ソニーのPSP、PS、PS2、DS、Wii、iPhone、PCをプラットフォームとしてサポートしている。市場セグメントの昨年の売上は1億2,000万バーツ程度であり、輸出同様主要な取引先は欧米である。Thongsrinoon氏はタイのコンテンツ市場動向から、言語、文化の違いという海外ビジネスの障壁、国内における著作権等の法規制、優秀な人材の確保、ブランドの確立、投資・資源、課題にまで言及した。
*Wongwarawipat氏が自社のプレゼンテーションを行った。
Digicraftsの資本金は4,650万バーツ、株主はタイが62.04%、日本が37.96%である。
オンラインゲームの実績は「ARCANA」、「ARCANA BATTLE CARD」、「U-TOWN」、ライセンスは「GetAmped」、アニメーションの実績は「ゴルゴ13」、「かみちゅう」、「アンパンマン(OVA)」、「グレートマジンガー」、「ムシキング(劇場用)」、「スーパーロボットモンキー2nd」、「コードギアス(サンライズ)」、「電脳コイル(マッドハウス)」、パチンココンテンツ等々、多数ある。また、日本のサイバーステップ社からライセンスした「GetAmped」は現在3年目に入り、ユーザー数は180万人、無料プレイのアイテム課金で収益を上げている。また、世界トーナメントも行っている。
「ARCANA BATTLE CARD」は800以上のカードを使うゲームで、タイのオンラインゲーム市場第1位となった実績を持つ。ユーザーは17万人。現在も1カ月で6,000人以上のビジターがいる。

また、「アルカディアンナイト」と称するイベントを毎週土曜日の夕方5:00~夜10:00まで行い、プロと初心者のバトルや、アルカナについてのトークセッション、アナウンサーとユーザーのLive Chat、グッズ販売等があり、そのイベントはIPTVで放送されている。無料の販売促進用カードを受けとると、このゲームに登場するピンクの天使とチャットができるサービスもある。こうしたイベントを絡めることで、話題を作り、ゲームをより盛り上げている。
その他、セカンドライフのようなタイの仮想ビジネススクール「U-TOWN」や日本からライセンスを受けた「GetAmped」等、自社の扱うコンテンツ並びにDigicraftsも含めたInstepグループと日本事務所の紹介をし、今後、日本企業の東南アジアにおけるコンテンツビジネスをサポートしたい、と結んだ。
*KC-Tan氏が自社のプレゼンテーションを行った。ASIASOFTは東南アジア最大のオンラインゲームパブリッシャーである。
ASIASOFTは2001年に設立され、タイのバンコク、シンガポール、マレーシアのクアラルンプール(ミッドバレー)、ベトナムのホーチミンシティに拠点をおき、今年、フィリピンのマニラ、インドネシアのジャカルタにも支社を立ち上げる。従業員数はタイに400名、シンガポール140名、マレーシア50名、ベトナム140名。新オフィスには30名ずつ配置する。
ASIASOFTの主な業務はオンライン・ゲームのパブリッシングであり、PC用のゲームソフトも提供しているが、規模はあまり大きくない。PC用のゲームソフトは海賊版問題があるため、過去、担当者は毎週、店を回り摘発していたが、2001年にオンラインゲームを業務の中心にすることを決断した。オンラインゲームは海賊版に侵害されることなく、コピーされればされる程良い商売になる。他にはゲートウェイサービス、PCゲームのディストリビューション、またゲームカードのディストリビューション等も展開している。
年間の契約数は25程度で新規タイトルを含む。更に10程度のゲームが今年中にスタートする。ここ1年はタイ、シンガポール、マレーシアだけではなく、東南アジア全域、インドネシアやフィリピンとも契約している。扱うゲームの殆どは英語、タイ語、ベトナム語であり、中国語のゲームについては、今年中にリリースすべく計画中である。
年商は4,690万米ドル。ゲームタイトルは韓国のものが大半を占め、他に日本、アメリカ、台湾、中国のものを扱う。世界のユーザーの割合は北米が41%、ヨーロッパが26%、アジアが17%、南米が9%、中東が3%、オセアニアが1%である。タイにおけるオンラインゲーム市場の過去6年間の成長率は平均25%増加している。
又、課金については、主にA-Cashというプリペイドカードを採用し、A-Cashが使える店舗数は現在1万8,000店舗である。
最後にKC-Tan氏はゲームの海外展開で注意すべき点を述べた。ある国で大変良いゲームと言っても市場によってはそれがフィットしないこともある。各国の文化の違いやゲームに使えるお金、生活水準のレベルは配慮しなければならない。それと、ゲームは提供するだけではなくサポートが大切である。例えば、韓国や中国で成功した場合、サポートさえしっかりしていれば別の国でも上手くいく可能性は十分ある。また、既存のゲームで使ったリソースをまた新しいゲームの開発に回していくということもできる。今の韓国、中国を見るとIPOをしているのは一企業のみで、2番手が出てきてもあまり上手くいかないケースが多い。このような、色々な世界のコンテンツ市場の事情を日本の企業にも参考にしていただきたい。
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