DCAJ news No.145

DCAJセミナーより SIGGRARH 2009 報告会

はじめに、当協会の青木企画開発本部長より、DCAJが以下の4つの交流活動を行ったとの報告があった。

  1. 会場内ブースでのDCAJおよびDC EXPOの紹介;
  2. SIGGRAPH主催団体幹部とDCAJ幹部の相互協力についての話合い;
  3. 会場内でのDCAJプレゼンテーション(デジタルクリエイターズコンペティション入賞作紹介と日本企業4社によるCG関連技術開発の紹介);
  4. CG学界・業界との交流のためレセプション

そのあと、3名の講師によるSIGGRAPH報告に移った。
概略は下記の通り:

◆「今後のビジネスに役立つ新しい技術の芽」

映像新聞論説委員 杉沼浩司氏映像新聞論説委員 杉沼浩司氏:

  1. SIGGRAPH 2009全体について:
    ・参加人員:11,000人(昨年は28,500人)
    ・出展企業:140社(同230社)
    ・2009テーマ: 音楽関係では「CGと音響の融合」;ゲーム関係では「ゲーム論文」、「サンドボックス」;「情報美学」
  2. 基調講演
    ・Larry Gritz氏 (Sony Pictures Imageworks社): レイトレーサがSPIWで唯一のレンダラーとなったことについてなど。
    ・Peter Lude氏 (Sony Electronics社: (立体)3Dにつき、(1)家庭用に既にディスプレイが200万台出荷され、2010年にはさらに大量投入される;(2)Blu-rayも対応している;(3)裸眼立体は近い将来には難しいことなど。
    ・Bob Whitehill氏(Pixar社;『Up』の立体スーパーバイザー): (1)シーン毎の立体感は感情の起伏に同期させて事前に決める;(2)まず映画としての内容を考え、次に3Dの事を考える;(3)映画館でのFoVは50度に設定など。
  3. 展示について<省略 DCAJ注:日本よりは1団体と1企業の出展があった。>
  4. ビジネスの芽
    (1)立体3D
    ・コンテンツ制作:ノウハウ(特に脚本と3Dの連携)蓄積のため、早く始めるべき
    ・ハードウェア:先行特許が数多くあるので充分な調査が必要
    (2)情報美学
    ・単なる可視化とは異なり、情報の表現に美的センスが求められ、かつ、価値が高く認められ始めたことを反映している
    (3)レイトレーシング
    ・ハリウッドで多用;「調子」は流行;世界的流行になるか?
    ・ハードウェア(GPU)の加速により、リアルタイム処理が可能になった。ただし、ハード投資が出来ない企業は対応不可能?外部レンダラー活用で逃げられるか?
  5. まとめ
    ・立体3DはCG業界に新たな活力をもたらすともに、クリエイティブ業界には対応が求められている。
    ・レイトレ復活はハリウッドの潮流。

◆「企業からポスターセッションに参加して」

大日本印刷(株) 情報コミュニケーション研究開発センター 河合直樹氏大日本印刷(株) 情報コミュニケーション研究開発センター 河合直樹氏

  1. CG利用の箔押し製品「デコレリーフ」”(SIGGRAPHでのDCAJセッションで紹介)
    ・平面に3次元的な反射の見え方=レリーフ像を表示する箔押し製品
    ・媒体の表面に刻まれた多数の微細な溝により複雑な反射を実現している
    ・ホログラフィーやレンチキュラーとは異なる3次元表現技術「スクラッチ3D」を利用
    ・「スクラッチ3D」はDNP独自開発の技術で、任意のCGデータ、CADデータを自動的に溝パターンに変換し、これを実体化、複製することにより元の立体の反射を再現する立体演出技術。50μm未満の浅い溝が刻まれているだけで、見かけ上、1センチ以上の高低差を表現できる。
  2. SIGGRAPHの様々な側面
    (1)研究者、技術者にとって:Papers, Talks, Posters, Emerging Technologies,VR Installation等による研究発表の場
    (2)アーティストにとって:Computer Animation Festival、Art Galleryなどによる作品発表の場
    (3)企業にとって:展示による製品、サービス発表の場
  3. SIGGRAPHにおける技術発表のグレード
    ・論文発表(フルペーパー):最高水準の完成度が求められる;投稿の締め切りは大会の7ヶ月ほど前;英文10ページ;採択率は20%程度;Technical Papers、Game Papers、Art Papersがある。
    ・口頭発表:新しいアイデア、進行中の研究も求められる;投稿の締め切りは大会の3ヶ月程度前;英文1ページのアブストラクトのみ;Talks (Sketches)、Postersがある。
  4. SIGGRAPH 2009におけるポスター発表
    ・120件程度の研究が採択;日本からは40件程度(学生が多い);会期中(5日間)ポスターを掲示;1時間×2回のポスター会場における「セッション」あり。
    ・DNPからはSIGGRAPH2009に、スクラッチ3Dにおける溝パターンの改良技術(均一でない曲線パターンを断片化することにより、均一に近づけるStreamline Fragmentation技術)を発表。
  5. 企業から見たSIGGRAPH参加の意義
    ・一般的な目的:
    製品調査(展示会の視察);最新研究の動向調査(論文発表の視察);アニメーション、VR関係の最新動向
    ・視察の成果:
    自社での研究開発方針への反映(世間動向との整合をチェック;新たな提携先の発見;新たな開発テーマのアイデア);他社との関係構築に利用(最新調査に基づいた提案);CG/インタラクティブ技術の知識獲得(特に若手社員の啓蒙)
    ・Contribitor(発表者)としての参加
    絶好のPRの場;他の参加者と議論できる;SIGGRAPHをより立体的に理解;参加費がディスカウント(Posterの場合25%OFF)

◆「SIGGRAPH 2009 Computer Animation Festival 入賞作品抜粋上映及び解説」

為ヶ谷秀一氏女子美術大学 大学院 教授 為ヶ谷秀一氏

・ことしもヨーロッパ勢と共に学生作品がかなり入選している。770作品の応募があり、143作品が採択された。入選作の国別作品数は以下のとおり:

CAF入「選」作数-国・地域別
米国 38
英国 22
フランス 19
日本 13
ドイツ 8
スペイン 7
中国 5
デンマーク 5
イスラエル 5
オーストラリア 4
イタリア 3
カナダ 2
台湾 2
韓国 2
スウェーデン 2
アルゼンチン 1
コロンビア 1
アイスランド 1
メキシコ 1
スイス 1
ウクライナ 1
143

・入「賞」作品は以下のとおり:
Best of the Show
“French Roast” by Fabrice O. Joubert, Pumpkin Factory/Bibo Films, France
Jury Award
“Dix” by Bif Production, The Mill, United Kingdom
Jury Award, Honorable Mention
“Alma” by Rodrigo Blass, SpainStudent Award
“Project: Alpha” by Matthías Bjarnason, The Animation Workshop, Denmark
WTF (Well-told Fable) Award
“Unbelievable Four” by Sukwon Shin & In Pyo Hong, Illusion Studio, USA
(上から4作品までを上映した。)

◆報告会のあと、有志による懇親会をおこなった。

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