

「デジタルコンテンツ白書2009」発刊セミナーが、DCAJセミナーとして9月4日(金)、9月9日(水)と2回、デジタルハリウッド大学秋葉原メインキャンパスにて、コンテンツ学会との主催として、各々約50名の参加者を得て開催された。
各々、異なるテーマで行われたが、まず、9月4日(金)に開催されたセミナーについてのレポートである。
内容は、「コンテンツ人材育成策の経過と現状の課題」である。
コンテンツ学会の副会長であり、発起人の一人である、デジタルハリウッド大学学長の杉山知之氏から挨拶があった。コンテンツ学会は発足1年となり、最近は10回にわたる連続セミナーを実施し、活発な活動が行われているとのこと。
コンテンツ産業の市場規模(DCAJ宮島慎一)では、コンテンツ全体の市場規模は13兆8282億円前年比2.6%減となり、2年連続の減少傾向であること、そのうちデジタルコンテンツは5兆8964億円前年比5.9%増、内訳でいくとパッケージソフト市場が年々縮小していく一方、インターネットと携帯電話で流通するコンテンツが好調に推移していること、デジタル化率の推移で見ると、映像が地デジの伸びによりデジタル化が進展していること、流通メディア別では、パッケージ流通が減少傾向であることなどが、説明された。
その後、白書編集委員長で、専修大学教授の福冨忠和氏をモデレータに、執筆者によるプレゼンテーションが行われた。
デジタルハリウッド大学 学長補佐の高橋光輝氏は、「我が国における人材育成施策の現状と課題」について解説した。これまで政府は、人材育成についてあらゆる施策を行ってきた。しかし成果としては、評価が難しいこともあり、達成の判定も難しいところがある。これまでの施策の例として、文化庁が行ってきた、映画・映像人材育成、これは約40年前から実施されてきた。その中に、「新進芸術家海外研修制度」があり、世界に羽ばたく新進芸術家等の人材育成として、海外での実践的な研修機会を提供してきており、派遣者の中には、狂言師の野村萬斎氏や映画監督の崔洋一氏がいる。日本国内の大学において、コンテンツ関連の学部・学科が増えており、コンテンツ産業の人材の需要の増加が見込まれるとしても、明らかに供給過剰となっている。また、韓国では、コンテンツ関連の学科および専攻の学生が急増しているが、就職率で見ると50%程度で低迷している。中国は、コンテンツという概念が定着してなく、国としてアニメーションに関して振興策を実施しており、関連する大学が急増している。日本国内のアニメーターの労働条件は、非常に厳しく、同年代の一般の給与に比べて大きく下回っているのが現状であること。あと、大学とは、資格型、専門職型、普通教育型、学問型に分類されるが、現状では、職業との関係が強い方向になっているが、各々のバランスがとれた方向になる事が望ましいと思われる。
ゲームアナリストの平林久和氏は、「ゲーム産業の現状と人材育成に係る課題」について解説した。ゲーム分野について、売れていないといえる。2006年にハードが出そろって、その後ソフトが売れる、「収穫期」に入ったはずが、売れていない。海外は好調に見えるが、80年代ゲームソフトのマーケットシェアは、日本が100%であった。日本以外にゲームソフトを作っている企業はなかった。その後シェアとしては低下している。現在の海外市場の状況は、任天堂のハードとソフトがかなりを占めている。2009年は、任天堂、特にWiiが急ブレーキ、1Qの決算にて経常利益60%減。パッケージソフトはネガティブな傾向。ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)はPSP goで、パッケージソフトを使わないハードを発売する。ゲーム業界における人材育成。勃興期は、売れているため人材育成をまったく必要としなかった。その後、成長産業・人気業種でもあって、人材育成を行っていなかった。教育産業の参入分野としてのゲーム産業があったが、教える人間がスキルを持っていないという矛盾があった。日本は「天才・職人芸・従順」であり、能力のある人を見てそれから身につける。しかし、アメリカは「研究開発・プロジェクトマネジメント・管理システム」ができていて、システム的にスキルを身につけることが可能。課題としては、教育機関・企業においてもスキル教育以外の部分が不足している。ゲームクリエーターは、ゲーム・パーツ・クリエイターになっていて、他のところが全く見えない状況。効率的に進めるためには、「規格化・分業化・同時化・集中化・極大化・中央集権化」が有効であるが、個性の尊重とで矛盾が発生している。プロデューサーなどのリーダー育成が最も遅れている。機能を教わるが、資質を伸ばしてくれる人がいない。ゲームだけではないが、働くことが苦しく見えるのか。苦しいから楽しそうなゲーム業界に入るが、入ってみると現実は厳しく辛く、矛盾してくる。働くことに喜びを見いだすような教育が必要ではないか。
株式会社シゲル代表取締役社長の増澤貞昌氏は、「モバイル関連産業の現状と人材育成に係る課題」について解説した。モバイルにおける去年から今年にかけてのコンテンツ業界は、「Gree」が非常に目立っていた。携帯では、モバゲータウンは広告モデルで広告をクリックする事による広告収入をポイントとして還元するのであるが、退会率が高い。Greeは、ウィキペディアを取り込んだことが成功の要因である。キャリア自身でコンテンツの運営を始めた。そのため、プロバイダーの方にいかなくなってしまう。最近の傾向は、携帯電話がPC化してきている。それが、若年層を一気に取り込んで成長したコンテンツが「リアル」、「ブログのリアルタイム更新」のことで、PCではTwitterなどの「ミニブログ」と呼ばれるものの類似サービスである。もともとPCのインターネット上にあったものが順次ある程度時間かけて移されてきたものであったが、最近はPCサービスのモバイル化のペースがどんどん速くなってきている。モバイル側からキャラクターが出てきて、PC側にいくことがあるかもしれない。人材育成について。携帯電話業界は、出来て10年くらいなので、当時は全員が未経験だった。携帯電話のコンテンツを作った人はいなかった。月額課金にあったものを必死に考えていた。比較的、未経験者への許容度がある。携帯のコンテンツは比較的作りやすいので、作っている人を見つけて、引き込む事が行われている。課題としては、作ることのハードルが上がってきている。というのは、携帯電話の機種が増えている。日本で販売されたのは、過去から積み上げると、1000台位になる。3年くらいで見ても、3キャリア合わせると、100から200になる。全部仕様がバラバラ、PCならブラウザは、Firefox、IE、Safari、Google Chromeに対応すれば良いところが、携帯電話では、機種毎に発色や表示サイズ等が微妙に異なっているので、その仕様に合わせるのが大変である。技術的なことは教えるのがそれほど大変ではないが、センスの問題は簡単にはいかない。結果に出てくるので、ユーザー目線が大切。ユーザー目線を持ち続けることができる人材こそが優秀である。
その後、各講演者からの人材育成について補足説明等は省略するが、予定時間を超え、盛況であった。
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