■ 概 要
LoCoStySh(ロコスティッシュ)*は、 3DCGによるデジタルアニメーション制作のための新しいソフトウエアです。光源調整による通常の3Dライティングに加えて、ハイライトや陰影をペイントブラシで直接モデルに描き込めます。オリジナルのライティングを活かしながら、アーティストの演出意図に合った陰影表現のアニメーションを作ることができる点が特長です。
このソフトウエアはOLMデジタル研究開発部門と東京大学五十嵐研究室との共同研究から生まれ、その基本技術を、CGの国際学会 SIGGRAPH2007に論文として発表しました。現在はインタラクティブ編集処理とリアルタイムプレビュー機能も備えたツールとして実用化されています。
(*) LoCoStySh は、上記論文のタイトル「Locally Controllable Stylized Shading」の頭文字からとった名称です。
■ 受賞コメント
我々が開発した技術は、デジタル映像制作の現場から生まれた小さな技術なのですが、SIGGRAPHのようなアカデミックな場で発表させていただいたり、今回の賞をいただくことができて、大変光栄です。
デジタル映像を高品質なものとして効率よく作り出すにはまだまだ沢山の技術が必要です。今後も産学の連携に努め、理論から実用迄を幅広く見据えた研究開発を続けたいと思います。
■ 審査講評
作者の感性を生かす手描き手法の永年の蓄積により2Dアニメが醸し出す独特な日本の味が世界の人々を楽しませている。一方、コンピュータの中に三次元モデルを生成し、従来の手描き手法よりリアルに、かつ効率的にアニメを制作する3DCGも活用されている。3DCGによるアニメ映像の制作において通常使われているソフトウエアでは、基本的に物理的な照明条件により陰影を表現するため、クリエイターの演出意図を反映したアニメらしい陰影表現をすることは困難であった。この新しいソフトウエアでは、3DCGで生成された映像をベースに、クリエイターがペイントブラシを使うことによって簡単に陰影の修正をすることができる様にしたものである。この技術を使うことによって、物理的な陰影をアニメ的にシンプル化し、日本のアニメが蓄積してきた雰囲気を効率的に創り出す演出ができる様になった。日本のアニメ制作者と研究者が、制作現場のクリエイティビティを生かす事に注力しながら、かつより効率的にアニメ制作が可能となるCGソフトウエアを開発したことは、アニメ産業にとっても重要な基盤技術となるものである。また、このソフトウエアは、アニメ制作以外にも展開できる可能性があり、この分野におけるR&Dに活力を与えるものである。
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