技術編

 デジタルアーカイブを推進するための基本技術について整理しました。特にこの編では外部の専門家との共同作業が必要となります。



◯ 記録層
 基本技術として、記述情報のデータ化技術のほかに現物を忠実に複写、再現するための撮影技術とスキャニング技術があります。特に撮影技術については撮影時の色調、形態などの現物忠実度が最終的には各種の作品、商品を開発、制作する場合の品質にも影響するため、極めて重要な技術となります。

(1)撮影技術
 写真はカメラレンズの歪みで撮影対象物が彎曲して撮影されます。精度を必要とする場合はレンズの歪み補正が可能な4×5(インチ)カメラを使用しますが、撮影したものを部分的にトリミングし、インターネットなどで使用する場合は一般的な35mmカメラでも十分です。

(2)スキャニング技術
 写真フィルムや図版などをデジタル化する場合、スキャナーを使用します。スキャナーは写真フィルム等を光の3原色のデジタルデータに分解します。
重要なことは将来の使用目的にあわせた解像度を確保する点です。通常、データベースの検索用やインターネットなどで使用する低解像度データと高精細映像作品等に使用する中・高解像度の2パターンが必要になります。


●使用目的と解像度の目安
使用目的 解像度
レベル
スキャナー
解像度
対応するデジタル
カメラの解像度
印  刷 高解像度 1000〜2000dpi 2000〜4000万画素
高精細映像 中解像度 350〜400dpi 200〜400万画素
CS/BS放送 低解像度 100〜150dpi 20〜40万画素
DVD/CD-ROM
インターネット
dpiの概数は4×5インチのフィルムを基準にしています。
dpi:dot per inchの略



◯ データベース層
 ここではポイントを整理する条件として、仮に「500点の作品を所蔵する美術館」を設定します。
 データベースは画像データ(作品)とテキストデータ(作品の各項目)で構成され、画像データは、中解像度と低解像度の各作品2画像計1000点のデータベースとします。

 データベース構築のためには、まずデータベースに求められる機能を整理し、仕様をまとめます。
一般的な学芸業務用として複雑な検索などを求めないデータベースでは、市販の汎用データベースソフトとPCで画像、テキスト双方の管理が可能ですが、今回の条件では画像データの保管はデータ量が大きすぎるため(約8Gbt)、CD-R(専用のCD-Rライターが必要です)やサーバーが必要になります。またテキストデータの整備では、将来的な公開(プレゼンテーション層)を前提に、番号や字句の統一をはじめ、データの長さ(固定フィールド長)などについての仕様をまとめ、入力作業に入ることが肝要です。

データベース層



◯ プレゼンテーション層
 蓄積したデータベースをDTP(Desk Top Publishingの略:印刷物等の電子編集)やDTPR(Desk Top Presentationの略:電子プレゼンテーション)に使ったり、インターネットやCD-ROM、DVD-ROMなどで使用する際には、使用目的に応じて画像加工ができるソフトやテキストデータを流し込めるPC用ソフトが必要です。
ソフトの種類としては
(1)画像の色調整やレタッチ、トリミング、色変換用のソフト。

(2)画面をレイアウトするソフト。

(3)画像を拡大したり縮小して鑑賞できるように加工するソフト。

(4)画像の不正使用や偽造を防止する電子透かし(ウォーターマーク)ソフト。
などいろいろあります。いずれも市販品があり安価に入手できます。
 インターネット、DTP、DTPR、CD-ROM、DVD-ROM等のオーサリング(編集)用のソフトも市販品が揃っていますが、CD-ROM、DVD-ROM等のオーサリングは専門的な知識や熟練性も必要なため、専門家に任せる方が賢明です。


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