| 2002年12月度(第1回)DCAjセミナー実施報告 |
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新しいディスプレイのハードウェアと、それに表示するためのソフトウェア、コンテンツ作成技法の紹介 |
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2002年12月2日(木)、DCAjにおいて、シャープ株式会社が開発した「3D液晶ディスプレイ」、および3Dディスプレイ産業の創出を目的とした「3Dコンソーシアム」についてのセミナーを開催しました。
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講師:今井明(いまいあきら)氏
シャープ株式会社
モバイル液晶事業本部モバイル液晶開発センター
設計センター 3D液晶開発プロジェクトチーム 副参事
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(1)3D液晶ディスプレイの概要
3D液晶ディスプレイは、液晶ディスプレイに更なる臨場感を与えるための進化であると考えている。また、3D液晶ディスプレイはシステムであり、3Dソフトウェア、3Dコンテンツとともに、スパイラルに展開していくことが必要である。
3D液晶ディスプレイを商品化したものとしては、NTTドコモの携帯電話「SH251iS」がある。2002年11月13日に発表され、11月16日に首都圏で発売されたばかりのものであり、2.2型の3DTFT液晶を搭載している。2Dディスプレイと3Dディスプレイの切り替えが可能であり、内臓カメラで撮影した2D画像を3D画像に変換するためのソフトウェア(マーキュリーシステム社のSandy(3D)Technology)を内蔵している。3D対応のコンテンツとしては、(株)ハドソンの「美少女☆くらぶ」などが配信されている。
3D液晶ディスプレイをコンシューマー市場の主流とするため、2Dコンテンツを表示する互換性を持つことや、CGコンテンツが3Dポリゴンで制作されていることによるインフラの整備、液晶の量産技術と量産効果によるコスト低減を実現し、ニッチ市場向けの特殊なディスプレイとならないことを目指している。
また、3D表示よって気分が悪くなることがあるという噂もあるが、2D、3Dにかかわらず、出来の良い液晶ディスプレイでも、出来の悪いコンテンツを見た場合、気分が悪くなることがある。よって、出来の良い3D液晶ディスプレイに出来の良い3Dコンテンツを表示することが大切である。これより、出来の良い3D液晶ディスプレイと出来の良い3Dコンテンツとはどんなものであるかについて説明する。
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(2)3D液晶のハードウェア
2眼式の、3Dの表示方式としては表のようなものがあり、この度開発した「3D液晶」は、網掛けの部分に分類される。
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モバイルと
の親和性 |
観察位置
自由度 |
コ ス ト |
画質 |
用 途 |
| メガネあり |
液晶
シャッター |
× |
○ |
○ |
△ |
パーソナル |
直交
偏光板 |
△ |
○ |
○ |
△ |
シアター(同時に多人数) |
| メガネなし |
視域固定 |
◎ |
△ |
○ |
◎ |
パーソナル
(どこでも手軽に) |
| 視域自由 |
△ |
◎ |
× |
◎ |
パーソナル
/専門家 |
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今回開発した「3D液晶」の基本原理は、画像表示装置に光の進行方向を制限する部品を加えることにより、右目と左目にそれぞれ微妙に異なった画像を見せる。それによって、両眼視差を発生させ、頭の中で立体を感じさせることが出来る。
「3D液晶」の特徴としては、2D表示モードと3D表示モードの互換性があげられる。これは、光の偏光特性を利用したもので、スイッチ液晶による電気的切替え、または簡単な操作による機械的切替えによって、簡単に切替えが可能である。
2D表示モードの場合、通常のディスプレイと同様の解像度と視野角を実現している。3D表示モードの場合は、特殊なメガネを必要とせずに高画質の立体表示を可能とし、3Dに見える位置が一目でわかるインジケーターの組み込みも可能となっている。3Dを快適に見るための「出来の良い3D液晶ディスプレ
イ」とは
・ クロストーク(右目で見るべき画像が左目で見えてしまうような現象)が少ないこと
・ 十分な明るさがあり、フリッカー(ちらつき)がないこと
・ (特殊なメガネをかけることなどによる)余分なストレス要因がないこと
であると考えている。 |
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(3)快適に見える3Dソフトウェア・コンテンツの作成
「3D液晶」用のコンテンツの制作方法は、CG画像の場合は、通常の制作過程に、弊社開発の「SmartStereoプロトコル」を加えることにより、ほとんど修正不要で制作することが出来る。また3D表示するためのプロトコルとして、「OpenGL」ベースのAPIについては既に開発済みである。
実写(静止画)の場合は、1枚の写真から、画像処理によって2枚の画を作る方法と、右目用と左目用と別々に撮影する方法がある。前者の場合、もともと存在しない情報を補完する必要があるため、自然な立体感が表現できるとは限らない。後者の場合は複数の方式がある。例えば、2眼式(レンズ・CCD等の光学系を2セット持って同時に撮影)、高速ミラー移動2回撮り(アダプターについたミラーを高速に動かし、右目用の絵を撮影直後に、左目用の画像を撮影する)、アダプター方式(鏡の入ったアダプター
をつけることで、右目用の絵と左目用の絵を「サイド・バイ・サイド」で撮影する)、2回撮り(適当な間隔を置いて2回撮影する)などがある。いずれの方式にしても撮影後の画像処理は必要となる。
3Dを快適に見るための「出来の良い3Dソフトウェア・コンテンツ」とは
・ 人間工学的に「快適」であること
・ 左右画像が上下にずれていないこと
・ 快適に見られる奥行き範囲を超えてコンテンツを表示しないこと
・ 画面の端の部分に、画面より前に見えるものを置かないこと
であると考えている。
快適に表示できる奥行きは、15型XGA液晶ディスプレイの場合、画面より前に80mm、画面より奥に120mmであり、この範囲を超えて表示すると、長く見た場合に不快感や目の疲れが生じることがある。快適に表示できる奥行き範囲に収めるためには、画角やシーンの奥行き情報などから、カメラ間距離を適切に計算して決める必要がある。
画面の端に、画面より前に見える絵を置かないことは、3Dコンテンツを作るときのコツである。本来、画面のフレームより前に表示すべき絵であったとしても、実際にはフレームより外側に表示することは出来ない(フレーム・キャンセリング)ため、そこの部分で目が錯覚をおこしてしまうからである。
弊社開発の「SmartStereoプロトコル」はこれらの計算を行うことで3Dコンテンツ制作の支援を行う。
なお、具体的にコンテンツを制作するために弊社では、CG制作用のツールとして「SmartStereoプロトコル」に基づいた3D
Studio MAXのプラグイン、OpenGLベースのインタラクティブCGを3Dコンテンツ化するAPI、VRMLを3D表示するソフトウェアを開発済みである。
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(4)3D液晶ディスプレイの意義
3D液晶ディスプレイとは、人間の知覚のためのデバイスである液晶ディスプレイに「更なる臨場感」を与えるための進化であると考えている。今までは音声は多チャンネル化されてきたのに対し、映像は多チャンネル化しなかった。それには、映像の多チャンネル化が音声の多チャンネル化に比べて難しいという技術的な問題と、映像制作のコストがかかるという経済的な問題が大きかった。
しかしながら、現在の映像制作では、3DCGの技術革新・コストダウンが進み、多くの3DCGが制作されるようになっている。この3DCGによる映像コンテンツは、任意の視点からの2D画像制作が容易なため、3D液晶ディスプレイ用の多チャンネルのコンテンツを作るコストはほとんどかからない。
今後は、3DCGの多チャンネル化により、多チャンネル映像を見るための道具としての「3D液晶」が普及することが考えられる。また「3D液晶」の普及によって、実写の多チャンネル化コンテンツの制作も期待される。 |
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