| 2002年12月度(第2回)DCAjセミナー実施報告 |
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「COMDEX/Fall2002」報告 |
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11月18から22日までの5日間、米ラスベガスで開催されたIT産業の国際見本市「COMDEX/Fall2002」について、(有)清水メディア戦略研究所の清水計宏氏をお招きしセミナーを開催しました。
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講師:清水計宏(しみずかずひろ)氏
有限会社清水メディア戦略研究所 代表取締役
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かつてパーソナルコンピューティングの一大見本市として、COMDEXは秋季と夏季の年2回にわたって開催されていた。その頃から、もう10年以上にわたってCOMDEXを取材し続けてきたが、今回のCOMDEX/Fall2002に来てみて、これまでにないショックを受けた。それは、世界最大規模を誇っていたコンベンションとしての「アメリカン・スケール」を失っていたからだ。
かつては重くて持ち歩くのが苦痛だった分厚いガイドブックは、盛況時の3分の1近くにまで薄くなり、機器展示はラスベガス・コンベンションセンター(LVCC)=写真=のノースホール(北館)とセントラルホール(中央館)だけを使って行われ、そのすべてを出展ブースには使い切れず、レジストレーションやビル・ゲイツ氏を除く業界代表の基調講演会場などに充てられることになった。
今年は、新館のサウスホール(南館)も、サンズエクスポ&コンベンションセンター(SECC)も、ラスベガスヒルトンのボールルーム(宴会場)も使われず、また以前はよく見かけた野外の臨時設営テントも、マイクロソフトとインテルの携帯型インテリジェント・ディスプレー「Smart
Display」の小ぶりのテント一つだけがポツンとあるだけだった。
昨年の開催は、ITバブル崩壊と9月11日の同時多発テロの影響下での強行開催ということで、その規模が大幅に縮小したのはやむを得ないとしても、今年はそのレベルを全く回復することができなかったばかりか、さらにスケールを失ってしまったのは、情けない気もした。昨年の来場者数は12万5000人で、主催者は今年も昨年並みと発表したが、具体的な数字を公表しなかった。果たしてそれだけの来場者があったかは定かではない。
というのも、例年ならビル・ゲイツ氏の基調講演の座席を予約するため、一般客は開場の何時間も前からチケットカウンターに長蛇の列をつくって並び、チケットを入手しなければならない。それでも希望者が圧倒的多数に及ぶため、全員にはゆきわたらず、会場に入りきれなかった人達は、隣接するホールなどでライブ映像を見てしのだ。
しかし、今年はチケットカウンターの前には、さほどの長蛇の列もできず、数時間前に並べば楽々とチケットは手に入れることができ、基調講演の会場となったMGMグランドアリーナ(1万2000人収容)には上部座席などに空きが目立った。
また、数年前まではCOMDEX/Fallの期間中はどのホテルも満室状態だったが、今年は開催間際でも空室が目立ち、急きょ訪れた人も難なく予約ができた。夕刻に各ホテルで催されるショーも一部を除いて、当日でも入場できるほどだった。
今回のCOMDEX/Fallは、これが米国での開催かと疑うほど、中国、台湾、香港、マレーシア、韓国、フィリピン、香港など東南アジア諸国・地域のパビリオンが目立った。
例年、ソニーが出展していたマイクロソフトと隣接する好立地の場所には、台湾Acerの映像/通信部門から分社化したBenQ(ベンク)や中国・深川のパビリオンが幅をきかせ、その手前には昨年と同様、韓国のサムソンが大型ブースを構えた。
COMDEX/Fallがこれまでに衰退したのは、パーソナルコンピューティング市場が成熟し、もはや国際見本市に頼らなくても製品を発表・プロモートする選択肢が増えたことや、ITバブル崩壊によりIPO(新規公開株・株式公開)見合いの投資資金が底を突いたこと、米国多発テロの影響、さらに世界的な経済不況によるところが大きい。ただ、会場を見て回っているうちに、かつて見られたさまざまな業種・業態の出展や、コンテンツ、アプリケーション、ソフトウエア、サービスの多様性が失われていることに気づいた。
その反面、開幕前夜のビル・ゲイツ氏が圧倒的な来場者を集めるように、マイクロソフトは一人勝ちをしていて、今回の出展でも他の競合企業が劣勢を余儀なくされるなかで、1社勝者の余裕を見せていた。パーソナルコンピューティング市場が成熟するなかで、マイクロソフトも急成長したが、マイクロソフトが一人勝ちしたなかで、多くのコンピューティングの多様性が失われ、ビジネスの芽が摘み取られてきたことも否めない。
COMDEX/Fallは、いまやマイクロソフトがその屋台骨を支えるようになっているが、ひょっとするとマイクロソフトが一人勝ちしたことで、COMDEX/Fallが衰退のきっかけをつくったかもしれないとも思った。
鶏鳴狗盗の喩えを持ち出すまでもないが、どんな危機でも社会と人間、産業に多様性と豊かな経験値があれば乗り切れるものである。もし、IT業界がこの産業の硬直・萎縮状態から抜け出られないとすれば、それはデジタルの遺伝子が本来持っている多様性があまり発揮されていないからではないだろうか。
巨大すり鉢型のMGMグラインドアリーナ(スタジアム)で、ビル・ゲイツ氏の基調講演を聞きながら、マイクロソフトの示す方向性がそのまま業界の指針と捉えられていることに、一瞬身震いを覚えた。
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