| Q: |
プロデューサーの教育をしている先生についてですが、彼らはもう自らプロデューサーだと思います。どういった先生の研修をやってらっしゃるのでしょうか。 |
| A: |
プロデューサーのネットワーク、彼らのネットワークは非常に貴重であり、そこから先生としてきてもらっていました。しかし今現在は、大変いい先生が育ちました。彼らは現役のプロデューサーであり、そして彼らは年に1〜2回、自らもプロデュースも教えているわけです。現在は人が見つからないということはありません。自分達の意識を共有したいという人たちがたくさんいますので、先生の候補はたくさんいます。ですから、カリキュラムは客員教授などで充分埋めることができます。教員はプロデューサーだけではありませんが、プロデューサーに限っていえばそうです。 |
| Q: |
エキスパートのインストラクターの方がトレーニングの先生としてフィルムスクールで教えられるということですが、どのようにして学校にお呼びして先生をお願いしているのでしょうか。先生にはどのようなインセンティブがあるのでしょうか。 |
| A: |
インセンティブというのは金銭的なものではありません。しかし、2つの例を持って説明したいと思います。
近年においてはスティーブン・フリアスを学校に迎えることができました。ディレクターですけれども、映画製作の合間をぬって来ていただいております。そして最近ですが、彼はある記事の中においてフィルムスクールで教える方が悪質な映画を製作するよりよっぽどましだと言っております。非常に興味深いのですが、より多くの現役のプロフェッショナルが、現場から一歩離れて教えてみたいと考えているようです。
カメラ部門では、8〜9人をチ−ムとして教えることができました。このように工夫が必要なのです。全てをお金で解決することはできません。
大半の分野においては第一線のプロはクラスの前に立って教えることはないわけですが、クラスで教えるという体験をすると、皆さん再び戻ってきてくださいます。横柄な学生の前で話すという嫌な体験をしないかぎりはです。そういう学生は入学させないようにしていますが。
問題の一方は教えることに卓越しているプロフェッショナルを確保するのが非常に大変だということです。私たちはショウ&テルの方法をとっています。第一線の現役、実際に学校で教えた経験の無いような方を招いて、例えば実際に制作したフィルムを持ってきてもらってそれについて話してもらうという、ショウ&テルの方法です。これを行ってもらい、学生と繋がることが出来るのか、コミュニケートすることが出来るのか試してみたりしています。優れたプロであっても教えることが苦手な方もいますし、そしてプロとしては一流ではなくても教えることがとても上手な方もいます。 |
| Q: |
プロデューサーを育成してその後イギリスの映画産業というのは、そういう方々を受け入れる環境というのは整っているのでしょうか? |
| A: |
それはプロデューサーのことに限ってよろしいでしょうか。
プロデューサーという形で卒業生がようこそという形で受け入れてもらえるような温かい環境ではないと思います。しかしたくさんのプロデューサー過程を終了した卒業生が、一定のクオリティーの仕事をしているということは実証できてきたような気がします。それまでは経験に裏付けられた、実証されたコースではなかったわけですけれども、例えばスカイテレビジョンのビジネス面でのプロデューサーをやっているとか、テレビシリーズの監督をやるようなプロデューサーもいるわけです。そして私のような独立したプロデューサーも輩出されています。その中である程度の品質が裏付けされてきたような気がします。実社会にでますと、マクロの構図の中でいろいろなやり方があり、踏襲しなければならい習慣というものもあります。英国には著作権というものを自分の方で保持するということがなかなか難しい国です。まず、映画を公開する、特にプリント代と広告費にお金がかかりますので、配給が難しいのです。イギリスの、イギリス国民に受け入れられるような、小規模の映画を出したいと思うのですが、300万、400万ポンドをかけて作ったとしても、欧州の大陸の方ではもしかしたらその半分製作費ですむかもしれなません。また、アメリカではこうしたインディーズの小規模の制作が可能なわけです。こういった環境の違いもあります。その中でこういったビジネスをきちんと維持する必要があります。また組合の方からも映画制作に携わる人間の賃金もある程度のレベルが設けられています。そしてディレクターからもいい作品作づくりのために、これだけのお金が必要だという要望があります。そういった意味で、この産業の構造についての問題はいくつかあると思います。プロデューサーを養成するのに、この産業自体がいい環境かどうかということはわかりませんが、なかなか厳しい状況であると思います。
例えば、イギリスでは「ハリーポッター」とか「ジェームスボンド」とか「コールド・マウンテン」、「カレンダーガール」といった作品があります。こういった作品はイギリスで制作されますが、これはアメリカ資本がイギリスに対する投資という形になっています。イギリスのみでは資金調達ができなかったので米国資本が流れてくるわけです。そして大きなプ
ロジェクトの場合は、イギリスのローカルなプロデューサーの手元にはあまり資金が残らないというような構図になっています。
例えば「ロードオブザリング」のように大成功を収めるシリーズになったとしたら、私たちの損失は大きいものになってしまします。また、こういった映画学校を持っているからといって実際に映画の配給のされ方、公開のされ方が左右されるわけではありません。そういう意味でブリテッシュ・フィルム・カウンシルの方では250のデジタル画面を設けて違う公開方法のチャンネルを構築したいという考えがあるのです。日本での配給システムは私はよくわかりませんが、優秀な若い新しいプロデューサーなどの才能が芽生えた際にやはり実際に映画を見てもらうことが大切だと思います。イギリスはやはり構造的にみても、配給、公開のチャンネルを造り手が持っていないということで何を実際に上映できるかというのは私たちのほうでは決められないという状況があります。こうした方法を変えていければ、新しい世代のプロデューサーは新しい機会を得られると思います。 |
| Q: |
現状ではとにかく企業の中で経験を積んでプロデューサーになっていくわけですが、たとえば企業で勤めながらショートコースに参加する方はたくさんいると思います。またはテレビのディレクターやプロデューサーをやりながら映画を目指したいと、そういうシステムをもひとつの手なのではないかと思うわけです。その辺のイギリスの中での体験を、聞かせていただきたいと思います。 |
| A: |
フルタイムですとか、短期コースとかいろいろなお話をしましたが、みなさん研修が必要な時に、どういった立場にいらっしゃるかということによって違うと思います。ある有名な先生が、どうやったら自分は優秀なバイオリニストになれるのかと質問したときに、まず優れた音楽家である必要があり、優れた音楽家であるために優れた人間であるべし、という答えが返ってきました。ですから例えばフルタイムで教育を受ける場合、受講者に全体像を与えなければなりません。単にプロセスを教えるだけではなく、何らかの形で彼らの頭の中に映画とはどういうものかという感触を与えなければならないということです。
どんな映画制作であってもそうです。
あとそれは個々人の選択だと思いますが、皆さんのなかで、志向決まっており、その志向が正しいという場合には、必要に応じて短期コースだけをとればいいということになります。ところが人によってはフルタイムを選択する方が適していることもあります。Leeさんが言ったように人との付き合いを通じて、居場所を確立したいという場合もそうです。全ての人がこういう風に成功するとは限りませんけれども、成功するとそれは魔法のように感じられるでしょう。 |
| Q: |
学校が今かかえている問題といいますか、つまりパーフェクトに全てのものが出来る組織というのはないと思うのですが、実際に私たちにとって勉強になるような失敗についてお話いただけますでしょうか? |
| A: |
すばらしいご質問です。私たちはアニメ部門、ドキュメンタリー部門に関してはかなりいいものが出来ていると思っています。フィクションはまあまあというところでしょうがこれは複雑です。8つのそれぞれ特化した分野があって、それぞれが学校の中とそれ以外のいろいろなところでも貢献しています。
私たちは2つのことを一度にやっているわけです。一方では協調をできるだけ高いレベルに持っていくことを実現しようとしているわけですが、もう一方でユニークな声を拾おうとしているわけです。
広い意味でフィクションにおけるチャレンジ、それは監督にしても脚本家にしてもそうですがユニークな発言をする機会を与えるということ、それと同時にあらゆる分野におけるきちんとしたトレーニングが一様に与えられるということは必要なことあります。
監督だけを育てようと考えていたのであれば、それなりの結果をだしたと思いますけれども、今日では戦いに勝つためには、できるだけその分野を横断的に教育するとともに、ユニークな側面を育てなくてはいけないと思います。
今後どうなるかを予測することは水晶玉をもっても難しいと思います。例えば10人の人が集まってこの先どうなるかを聞けば、10の異なる答えがかえってくるでしょう。また同時に学校は人を教育する場所であります。そして少なくとも今現在、将来のために理想となるような人たちを育てなければいけない、そういった人材を教育しなくてはいけないわけです。それは日々、私たちが抱えている課題であります。成功の数は失敗の数だけあるとはっきり言うことができるわけですけれど、ただむやみに、何の計画性もなくやっているよりは、成功の確立は高いのではないでしょうか。 |
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