今後の課題

 コンテンツのマルチユースを意識した、デジタルサイネージのビジネス展開を検討するにあたっては、屋内外の電子広告だけではなく、デジタル放送に切り替わる2011年に向け、テレビを端末とする、アクトビラサービス、アプリキャストサービス、VODサービス、2011年以降に予定されるマルチメディア放送(3セグ放送)等も考慮する必要がある。加えて、デジタルサイネージビジネスをより拡大するためには、初めから海外展開を視野に入れるべきであり、スタンドアローン型ではなくネットワーク型のサイネージを想定し、ハード、ソリューション、コンテンツ各々について検討しなければならない。  デジタルサイネージWGメンバーへ、今後検討が必要と思われるテーマについてフリーディスカッションを実施した。

[意見]

  • デジタルサイネージの広告価値としての評価基準について
  • 市場予測やマーケティング、市場動向等の情報収集
  • 国内の事例収集
  • 建築物のガラス壁面に映像や音声を表示し、PR手段として利用するシステムの販売とコンテンツの開発
  • 建設現場の仮囲いにPR映像を投影したり、仮囲い全体にART作品を掲示して、通行人や電車の乗客にPRするコンテンツの開発
  • サイネージ普及における方向性(インフォメーションボード and/or 広告媒体)の検討
  • サイネージにおける効果的なコンテンツについて
  • 共通で使える配信システム、共通インフラ等の構築。表示機器の仕様の標準化など。
  • コンテンツ制作や流通システムについて
  • 具体的な実証実験等について
  • 各種デジタル端末との連動について
  • サイネージが展開されている既存の場所(駅、交通機関、病院等)以外のニーズについて

 上記意見や事例紹介、関係者へのヒアリング等を踏まえ、下記のとおり、デジタルサイネージの抱える問題点や課題を整理した。

(1)著作権管理、意匠管理ルールが未整備
[1]権利処理ルールが未整備
新市場であり、明確な法規制が無い状態である。良い面は、束縛されることなく自由に取り組める反面、自分たちでルールを一つずつ整備する必要があり、手間がかかる。パブリックメディアであり、トラブル発生時には混乱が大きくなるため、一定のルールを設けなければ、市場を狭めることにもなりかねない。
[2]タレントの肖像権
ストリーミング型ではなく、DVD、VHS、メモリー内蔵の装置を使ってCMを流した場合、装置ごと盗難される恐れがあり、出演しているタレントの肖像権侵害に繋がるケースも考えられる。
  [3]使用音楽の著作権、音量の問題
駅などの開放された場所で音楽を使用した場合、近隣への音漏れが発生し、不正競争防止法(周辺が商店街の場合)や迷惑防止条例(周辺に住宅がある場合)に触れるケースがでてくる。また、その音楽が録音され、私的複製の範囲を超えて利用される恐れもある。
(2)効果測定方法が未確立
  テレビ広告には、視聴率という定量的評価尺度がある。スポットCMでは、延べ視聴率と言われている『GRP(グロス・レーティング・ポイント)』で、広告費を算出しているが、デジタルサイネージでは効果測定方法が確立されていない。
(3)世界市場への進出の際のノウハウ不足
  語学力の問題、法律に関する知識の不足、契約書作成のノウハウ、現地におけるトラブル対処のための支援機関の有無、また支援の範囲など、海外市場進出の必要性を理解していても、多くの懸念材料がある。
(4)市場要望の変化、送出方法の選択肢の多様化で、配信側ビジネスが成り立ちにくい
  [1]送出システムの開発には、1年以上の期間と先行投資を要するが、市場要望の変化が激しい割に市場規模が小さいため、システム開発に躊躇してしまう。
  [2]放送と通信の融合時代を迎え、固定通信、無線通信、2011年以降はマルチメディア放送サービスなど、送信方法が多様化している。各方式には、伝送速度、費用等に一長一短があり、複数システムの開発が必要となる。例えば、光FTTHは高精細画像を送ることに長けているが、都心部中心であり、地方に設置されるには数年を要する。
  [3]日本人はサイネージへの要求品質が非常に高く、瞬間でも画面がブラックアウトすると大きなクレームとなる。しかし、費用についてはシビアであり市場が広がりにくい。
(5)画質混在で、コンテンツマルチユースに制限あり
  [1]表示機器の画質と画面比が統一されていないため、表示機器毎にデジタルサイネージ用のコンテンツを制作する必要がある。ハイビジョン(HD)画質は画面比16:9、スタンダード(SD)画質は画面比4:3となっている。今後、SD画質で制作すると2011年以降の活用が限定されてしまう可能性がある。逆にHD撮影では既存表示機の性能上、表示ができない場合があり、ダウンコンバートするために余分な費用が発生してしまうため、マルチユースの阻害要因となっている。
  [2]送信側システムがメーカ毎に異なる独自方式であり、マルチユース時に無駄な初期投資が発生してしまう。
(6)市場規模推定の統計機関不在
  ビジネス参入、拡大のためには市場現況の把握が必要であるが、現在はそのための統計が整理されておらず、専門機関も不在である。
設立経緯
デジタルサイネージとは
開催状況
事例紹介
サービスプロバイダ
今後の課題
政策提言
まとめ